飛鷹

飛鷹

BLを書いています。 獣人大好き、不憫受けが多め、ヤンデレな攻めがやや多め。のんびり更新しますので、楽しんで頂けたら嬉しいです。 福岡市在住

【愛しい番の囲い方。】完結御礼SS2ー②

「こっちだ、ティア」

肩を抱かれ、アスティアが開けてくれた扉をくぐると、そこには美しい花が咲き乱れる広い草原が現れた。

「え?」

草原の遥か先に地面が途切れる所があって、そこから先は青空と白い雲が見えている。

「ここ?」

アスティアを見上げるとを、彼は珍しく表情を消して僕をとある場所へと誘った。

「この場所は空竜城の南側に位置している。大きく迫り出しているから、ここに来れば朝日から夕日まで太陽を感じる事ができるんだ」

少し離れた小高い丘へと辿り着くと、アスティアは持っていた花束をそっと地面へと置いた。つられて視線を向けると………。
そこには真っ白な石で作られたプレートが、2つ並んでいた。 
『タスト・フェリクス』『カナ・フェリクス』と名前だけが刻まれている。

「空の一族はね………。婚姻を結ぶと、これから使う性を自分たちで考えて、それを名乗るんだ」
「_______」
「ティア・フェリクス。これが貴方の名前」

何も、言えない。___言葉に、ならない。

「『フェリクス』の意味は『幸福』だよ」

アスティアの少し硬い指先が僕の頬に触れる。知らずに溢れて流れ落ちる涙を、そっと拭ってくれた。

「貴方の事は私が必ず幸せにすると、貴方の両親の前で誓いたくて」

労るように抱き寄せると、目尻に唇を寄せて慰めるようなキスが落とされる。

「もっと早くに連れて来たかったけど……。遅くなってごめんね」
「___っ、」
「___幸せに、なろう」

いつもよりも更に甘く囁く声は、僕の心に優しく響く。アスティアの胸に強く顔を押し付けて、僕は頷く。

「うん。二人で、幸せに_____」

草原に吹く風が優しく草花を揺らし、静かな祝福を僕たちへと贈ってくれた。
登録日 2022.12.01 20:22

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4
2022.12.02 03:27
飛鷹
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あきら様

近況ボードに来て頂きまして、ありがとうございます。
ティアの両親は本編で少しだけ出てきた時に、同時にこのシーンが浮かびました。
でも本編には入れ込むことができなくて……。
こちらに載せてみました。

読んで貰えて、本当に嬉しいのです♫

解除
2022.12.02 03:22
飛鷹
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きらら様

近況ボードへのご来訪ありがとうございます!

ティアの両親は襲撃を受けて、その亡骸が見付かった時にアスティアの父が空竜城に運ばせて弔いました。

この、幸せを誓った日は両親の命日になります。

愛されていたからこそ、ティアの命は守られて今に繋がったんだよって書きたくて。

読んでくださってありがとうございました♬

解除
2022.12.01 22:22
あきら

すてきなSSを、ありがとうございます。
最後まで楽しく読ませて頂きました。
読み終わった後は、幸せな気持ちになれる作品でした。

解除
2022.12.01 21:49
きらら

この癒し
愛された子だよ、とティアに伝え、幸せであるよう願う気持ちが、泣けました

解除
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