ふしきの

ふしきの

黒糖

種子惑星かぺてん師の子どもたち

種子惑星は、雌キャプテンが牝副操縦士とともに単独行動の未知惑星探索に出るときに、交通法指導で、機関士あるいは医者を乗せなくてはならなくなり、しかたなしに知り合いのつてで作業室を意地でもでない自己成型体制型の綿菓子頭のオスを乗員に加えた。
が、薄い大地に絶えず地形が変わる地殻変動惑星だと知ったときに、調査に降りたキャプテンと救助に向かった副操縦士が磁場に巻き込まれて大破してしまう。
待てど暮らせど、一切の興味のない母船は気が遠くなるまで星を回る衛星になったその後の世界。
リンゴのように種から生まれる民と、鉄や鋼の体を持って核が成長すれば自立型戦闘民が生まれた。
彼らが唯一同じように持ちたがるものはインフィニティーと呼ばれるみたことのないもの。
鉄道や鉄橋を作り続ける毎日。地殻変動は絶えず測量ミスに見回れる。
「次に生まれるときには近場に白銀があれば、僕にだって騎士になれるのに」
「ああ、鉄道駅で食べた、ミシン油漬けのはんぺんがもう一度食いたかったな」
彼らは核が壊れない限り体がなくても体がいずれ地熱が冷めれば出来上がるのだ。
リンゴのような民は、先祖の記憶を口頭で毎日のように子どもらに歌って聞かせる。大地の歌。高台の歌。自分等と違う緑の民は、なにも語ってくれなかったという悲劇の歌。それぞれがそれぞれ、生き、次の代へ繋ごうとする。そこに、大災害でも壊れたことのない箱が出てくるのだ。
箱祭壇は我らの言うPod。
その時。やる気の全く出ていない整備士がいたずらに船の外に向けて排尿している。

アストロノーツの子どもら。僕らとそっくりなご先祖火星人が住んでいる、英雄の星」と孤児の子らは、布団のなかで話す。
「あなたは昔でいう神の子なの」
「違うよ。ほら、へそはある。僕が父から産まれたのは確かだけれど、なにかに不都合でもあるの」
「出生」
「腹を開腹して腸を切開。先祖戻りって後々聞いたよ。人にはそういう器官があるってさ。親父は子ども好きだったから、出産で多くの腸を失った」

「で、まあ、親父の里帰りと言う口実は嘘で、実は弟と喧嘩したんだ。名目は弟の嫁探しって言ったらおもいっきり殴られるわ『二度と帰ってくるな』って罵声だわで、本当に思春期ってうざいよ。自慢したいほどの弟なのに、子どもっぽさが抜けていないのも可愛いよぉ」
「あなたが、ちょっぴり風変わりなのが十分分かるお話ね」

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登録日 2022.10.20 19:35

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