飛鷹

飛鷹

BLを書いています。 獣人大好き、不憫受けが多め、ヤンデレな攻めがやや多め。のんびり更新しますので、楽しんで頂けたら嬉しいです。 福岡市在住

平民の〜完結御礼SS sideルーデル

その依頼は、突然神殿にやってきたガンテからの申し入れによるものだった。

「春に俺の甥で、マイグレースの番となる人間が王宮に文官として入る」

前置きも無しに話しだす。相変わらずせっかちな男だ。

「宰相の番を害そうと考える輩が暗躍を始めたが、何せ相手が多すぎる。聖域の悪魔、お前も王宮に出向いて協力して欲しい」

「聖域の悪魔って呼び名、好きじゃないんだけど?」

「………『神殿住まいの狂信者』」

「ヤメロ。」

「戦場にあって、治癒力より殺戮を優先に、喜々として戦っていたお前を表すには十分だと思うが?」

「いやぁねぇ。ちょっと開発した魔術展開を試したかっただけなのに」

ふん、と拗ねる様子を見せるルーデルの姿は嫋やかで美しい。……が、彼の本質を知っているガンテは騙されない。
コイツは、義務や使命なんかより、自分が楽しめるかどうかで行動を決めるのだ。

だが、彼の望みを把握している限り、扱いやすいと言えなくもない。

「報酬は、表向き業務に対する給金と、護衛料、プラス神殿からの出張料」

「面白くない。」

「プラス、騎士団の若い奴ら、同意が有れば喰っていい」

「乗った!」

手段を選びさえしなければ、落ちるのも早いのがルーデルの良い所でもあり、唯一の欠点でもあった。

「靭やかな筋肉を持ってる子を組み敷くのって快感よね」

うっとりと呟く。ルーデルは自他ともに認める大の筋肉フェチ、そしてその理想の筋肉を持つ者を喘がせる事に至高の喜びを感じる性質だった。
だがそれが何だというんだ。好みは千差万別、是非を他人に問うものではないのだ。

副騎士団長の許可があれば、こっちのモノ。
同意があれば?そんなモノ、トロトロになるまで可愛がってなし崩しに貰ってしまえばいいのだ。問題ない。

「ガンテ、素敵な依頼をありがと!春からが楽しみだわ」

うふふ……と指を組んで美しく笑む姿に、ガンテは心の中で合掌した。

ーーーー喰われるだろう騎士の皆々。お前達の献身を忘れない……。

淫魔来襲と、騎士団で騒ぎが起きるまで、あと僅か。
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登録日 2022.07.07 11:21

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