広原琉璃

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様々なテーマを設定した長編ファンタジーを投稿しています。感想などあれば励みになります。

小話4-11「ヒロトとミニドラゴン(その11)」

■ヒロトとミニドラゴン(その11)
(登場人物:ヒロトたち4人、アークシェイド、フェルネ)


「とりあえず、事情は分かった。さーて、どうすっかなぁ」
「すいません、アークさん……」
「いや、気にするなヒロト君。しっかし、そうなると……この子を航海中どうするかだが」

 ずっと船室ってわけにもいかないだろう、とアークさんが言ってくれる。
 確かに、ずっと船室に閉じこもってばっかりはフェルネが可哀そうだしな。
 時間ある時には、甲板で遊ばせたり、日向ぼっこさせてあげたいわけだし。

 けど、今回はクレインさんの船がいくら大きいとは言え、行動範囲が制限される以上、1度も他人とエンカウントせずってのは難しい。

「他人の目がある場所で、ずっとぬいぐるみのフリってのも大変だろうからな」
「フェルネは賢いとはいえ、それは流石にやめた方が良いと僕も思うぞ」
「そうですね。何があるか分からないわけですし、私たちが常時一緒にいるにしても、限界がありますし」

 サディエルたちも、どうすべきかと唸る。
 オレらでさえも、3週間も部屋から1歩も出れないとか想像出来ないしな。
 いや、スマホやパソコン、食事諸々が全部解消すれば3週間引きこもりぐらいは楽勝かもだけど……ここ、異世界だし。

「んー……おれに割り当てられている部屋なら、バルコニーもあるし、高い位置にあるから一般客からも見えづらい。そこで遊ばせるか?」
「いいんですか?」
「下手にドラゴンに動き回られて、船内パニックになるよりはな。えーと、フェルネ君? だっけか、それでいいかな」
「………」

 ジー、とジト目のフェルネ。
 まだ、サディエルを殴った件でアークさんに対する不信感が拭えてないっぽいな。
 殴ったことに関しては、サディエルの自業自得なわけだけどさ。

「フェルネ」
「キュイ……」

 不満そうなフェルネの頭を、サディエルがゆっくり撫でる。

「アークは俺の事を心配したから怒っていたんだ。あんまり、いじめないでやってくれ」
「誰のせいだ、誰の」
「俺です、ハイ……だから、な? フェルネ」
「……キュイ!」

 サディエルの言葉に納得したのか、フェルネは素直にお辞儀をした。
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登録日 2021.09.29 23:35

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