広原琉璃

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様々なテーマを設定した長編ファンタジーを投稿しています。感想などあれば励みになります。

小話4-1「ヒロトとミニドラゴン(その1)」

「オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい」の小話4-1
本編で出そうかと思ったけど、展開がグダるのと脱線しかけると言う理由で没ったキャラの話
仮に登場していたら、と言う内容でお届けします
本編時間軸で言うと、第3章開始直後ぐらい

■ヒロトとミニドラゴン(その1)
(登場人物:ヒロト、サディエル、ミニドラゴン)

「……なんだ、これ」

 船に乗る為に移動中のある日。
 今日の野営準備の為、乾いた枝を拾いに来ていたオレは、あるものを見つけた。
 それは、不自然なほどに大きい緑の卵。

「―――これは、まさか! 魔物の卵!?」
「おーい、どうしたヒロト」
「サディエルー! ごめん、ちょっと来てー!」

 近くにいたらしいサディエルが、ガサガサと茂みから顔を出す。

「何があったんだ?」
「実は、こんなの見つけてさ」

 先ほど見つけた卵を指さす。
 それを見たサディエルも、驚きの表情を浮かべた。

「卵?……魔物のか」
「うん。これ、どうしようサディエル」
「どうしようもこうしようもない。壊さないと危ない」
「だよね」

 知ってた。
 安全第一を考えるならば、中身が何であれ壊すのが手っ取り早い。
 オレは内心、卵の中身に合掌して謝る。

 その時だった。

 ―――ぱき、ぱきき!

「へ? 卵が、孵化しかかってる!?」
「まずい! ヒロト、俺の後ろに……!」

 驚き、サディエルの後ろに隠れるよりも先に、卵に無数のヒビが入る。
 そのまま、バキン、と音を立てて卵から何かが出て来た。
 あまりの孵化の速さに、オレはサディエルの後ろに退避するのが遅れ、ソレと目があってしまった。

 緑の体に、小さい角、申し訳程度の小さな羽。

「ど、どらご……ん?」

 生まれてきたのは、RPGでよく見るドラゴンだった。

「……キュイ?」

 緑のドラゴンはつぶらな瞳をこちらに向けて、くきり、と首を傾げる。
 そのまま、ゆっくりと立ち上がり

「キュイ!」

 オレに向かって両手を差し出してきたのだった。
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登録日 2021.09.05 00:40

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