高梁まや

霊感少女・麗花は桜の樹の下で従四位・葉木泉乃中将と名乗る若者にいずこかへ連れ去られてしまう。家族や友人や彼氏の直人が必死で捜す中、直人の前へ麗花によく似た女性が現れ、麗花の居場所へ導いてくれた。　そこは平安時代にも似た不思議な空間で、直人が見たのは泉乃中将の恋人・旬芳御前になりきっている麗花の姿。中将は「この娘は私の愛する白拍子・旬芳御前の生まれ変わりだ」と告げるが、直人は元の麗花を取り戻す為、泉乃中将と対決する。そのさなか、直人が口走った「オレは惚れた女を命に代えても守る」という言葉を聞いて麗花は正気に戻り、十二単を脱ぎ捨てて直人のもとへ駆け寄った。愕然とする中将の前に直人を案内した女性が現れ、自分こそが旬芳の生まれ変わりだと語る。更に彼女は10年前に亡くなった麗花の母・花織でもあった。中将が鬼と化した為に輪廻の輪からはずれ、本当の生まれ変わりと出会えずにいたのだと説明する。中将は花織の霊力で浄化され旅立って逝った。花織は娘・麗花を直人に託し、崩れゆく空間の中に消え去ってゆく。「この時代に生まれ、あなた達に出会えて幸せでしたよ」という言葉を遺して…… 後に麗花は、自分や母が強い霊感を持って生まれたのは、泉乃中将を助けて欲しかった旬芳の願いの所為ではないかと考える。だが直人は「お前はオレが守る。だからオレの前からいなくなるな」と、初めて麗花を抱きしめた。二人は結ばれ、ひとは皆　幸せになる為に生きているのだと知るのであった。

ある城下町に三人姉妹の怪盗がいました。上の姉二人は美しく傲慢で、末妹はいつも蚊帳の外。ある夜、城でパーティが開催される為、二人の姉は末妹に留守番を言いつけて行きましたが、残された妹に話を聞いた隣家の情報屋が、空を飛べるという不思議な靴をレンタルしてくれた。そしてみごと城に潜入成功した妹だが、先客の盗賊と鉢合わせしてしまう。思わず剣を抜いた二人だが、満月に照らされた相手を見た時、十二時の鐘が鳴り、城兵の一斉巡回が開始される。

帰宅途中のOLが三人の少年に殺害された。動機は遊興費を得る為で、すぐに補導されたが、７年後に主犯の少年は少しも反省せずそのまま大人になっていた。歓楽街の派出所で彼と偶然出会った野島刑事はかつての罪を少しも意に介していない彼に腹を立て―――

スーパーアイドルユニット「WILD・WIND(略称W・W)」の大ファンの鈴(リン)は、ギャルな外見の女性警察官。ある日、W・Wのマネージャーが警察署を訪れ、W・Wが何者かに脅迫されていると知り、リンは半ば強引に警護を申し出、専任SPになる。やがてライブ当日、ギャル系全開で来たリンの姿を見て、不安を口にするマネージャーとW・Wの二人だが、ライブは無事フィナーレを終える。その後、最初に控室に戻ったリンは彼女の存在に気付かず入って来たW・Wの会話から、彼等が　ある秘密を隠していた事実を知ってしまう。 そこへ彼等を脅迫していた人物が現れ、何やら口にしながら襲いかかる。警察官としての使命の為に、そして愛するアイドルの為にリンは戦うが―――。

ある日突然、彼にフラれたレイカ。恋仇は、名前も知らない謎の美女。わかっているのは「長身・長髪・警官 (らしい)」という情報だけ。怒り心頭のレイカは、正体を突き止める為に上級生のツテを頼り、その「美女」と やらが務めるらしい警察署「六神署」に「女子高生の彼を盗ったオバサンの顔を見てやるわ」と意気込むが……

「100年前、破戒魔導士のアルベリヒが盗み集めた財宝がイバラの茂る森の古城に隠されている」という情報を手に入れた盗賊・ジークフリート。無敵を誇る彼はイバラの森を魔法で焼き尽くし、財宝の眠る古城に辿りつく。そこにあったのは、世にも美しい戦乙女の彫像と、あふれんばかりの宝物。品定めをしていると、何者かがジークフリートの背後から突然、襲いかかり、間一髪で避けたが、そこにいたのは宝の番人と称する者だった。驚くことに　その相手は……

19世紀末、幼い公爵令嬢シャルロットはピアノの調律師の息子アランと出会う。貴族と平民という身分の差を越えて慕い合う二人だが、成長したある日、フランス革命が勃発する。すべてを失ったシャルロットにアランは 「名前も身分も捨てて平民として生きよう」と諭す。そして3年の月日が流れ、アランの家族と共に美しく育ったシャルロットは、名をミドルネームの「ロゼ」と改め、穏やかに暮らしていたが、ある時、彼女を貴族の娘と知る男が現れて……

革命ですべてを失った公爵令嬢シャルロット(=ロゼ)は、平民としてアランと彼の母と姉と四人で静かな日々を送っていた。しかしある夜　家の近辺で火事騒ぎが起き、住民が避難する中、シャルロットは突然　何者かに誘拐されてしまう。「守ると約束したのに守れなかった」と落ち込むアランだが盟友クロードに叱咤され、立ち上がる。そしてシャルロットもアランの助けを信じて待っていた。アランは父の形見の剣を受け取り、母と姉が織った防護服をまとい、クロードと共にシャルロットの救出に向かう。

月に一度　少女は森の道を行く。それはもう長い間の恒例だった。ある日　少女は、森の奥で狼と戦い瀕死の青年に出会う。その青年は、かつて国内一の最高位を得た魔導士の忘れ形見だった。それを知った少女は、共に仇討ちをするべきだと協力を乞う。「あの婆に積年の恨みを晴らす絶好の機会だわ」―――。 幼くも美しい少女に、不思議な高貴さを感じた青年は、命の恩人でもある彼女に従う事を誓う。やがて彼の傷が癒えた頃、二人は共に城(少女の元居城)へ仇討ちに向かった。 相手は、少女の父王を殺害し、居城を簒奪して国中の魔法使い(青年の父を含む)を処刑した魔女。遂に謁見を果たした二人は―――……

檜山陣は警視庁屈指の敏腕警部。新たにコンビを組む事になったのは、美しい女刑事の緒方樹音警部補。二人は互いの思考や言動が予測できるシンパシー能力を持っていた。彼等が組んで以来、次々と事件が解決し、検挙率も跳ね上がり、二人の仕事ぶりは驚嘆と共に称賛される。互いの力量を知った緒方と檜山は親しさを増してゆくが、檜山に懸想する女弁護士の藤原薔子が嫉妬して、あらぬ証拠を捏造し二人を引き離そうと画策する。しかし結果的に逆効果となり、緒方と檜山は査問委員会に招聘されてしまう。

緒方樹音は優秀な女性刑事。本庁屈指の敏腕刑事・檜山陣警部とコンビを組む事になったが、二人は互いの思考や言動が予測できるシンパシーを持っていた。彼等が組んで以来、次々と事件が解決し、検挙率も跳ね上がり、二人の仕事ぶりは驚嘆と共に称賛される。互いの力量を知った緒方と檜山は親しさを増していった。 しかし、檜山に懸想する女弁護士の藤原薔子が嫉妬して、あらぬ証拠を捏造し、二人を引き離そうと画策した 結果、逆効果となり、緒方と檜山は査問委員会に召集されてしまう。

天野雄士は幼い頃に両親を亡くし、従妹の唯の家に引き取られた。二人は実の兄妹のように親しくなり、雄士はおとなしく愛らしい唯の騎士のように育った。数年後、唯の両親が他界した後も大切に慈しんでいたが、ある時を境に人が変わったかのように素行が乱れ、唯にも辛く当たるように変貌してしまう。そんな雄士に絶望する唯を見て、二人の幼馴染みの一臣が窘めるが、雄士は聞く耳を持たず、夜中に家を飛び出し自損事故で死亡する。しかし、その事故には誰知らぬ秘密が隠されていた。

クラリスとレオンは人も羨む恋人同士。しかし、ある日突然クラリスを死の病が襲う。余命二ヶ月と聞かされ、クラリスの祖父は、唯一の肉親であり　たった一人の愛孫クラリスの延命の為に、研修医のレオンに思いもよらない事を願い出る。それは―――……

勇者と魔物と魔法の世界。武者修行の旅に出た勇者・パーシバルは森の奥で魔族最強の闇龍(ダークドラゴン)と美しい女性が戦っている場面に出くわす。迷わず女性をかばうパーシバルだが、彼女は封印されたはずの悪魔族に憑依されていた。自らを「悪魔族ハンター」と名乗る闇龍に代わり、パーシバルは「魔の部分」だけを滅する聖剣エクスカリバーで女性を斬ろうとするが、なぜか闇龍はそれを阻止。そうこうする間に彼女が覚醒し、突然ふたりに襲い掛かる。実は女性の正体は……

あるペンションのオープン記念のゲストモニターに招待されて集まった７人の客たち。彼らは初日の晩餐を楽しむが、翌朝　ペンションのオーナーが変死しているのを従業員の青年が発見。警察に連絡しようにも端末や連絡の手段はすべて閉ざされ、強固なセキュリティの中、客たちは館に閉じ込められてしまう。その翌朝、カップルの客が殺されていた。更にその日の内に、客の女子大生が死んでいるのを発見し、館内は疑心暗鬼に包まれる。そんな中、換気扇を昇って外に出た従業員が転落死する。追いかけて外へ出ようとした客たちだが、出口は既に塞がれていた。絶望の色が濃くなる中、翌日にはキャリアウーマンの客が殺害される。パニックになったフリーターの少年は包丁を奪い、自室にたて籠る。残りは会社員の青年とスナックを経営する美女の二人だけ。しかし翌日、彼女の無残な死体が見つかった。最後の１人になった青年は包丁を手にして犯人を待ち受けるが、そこに現れたのは……

晴れやかな門出であるはずの結婚式直前に花嫁が死んだ。 新郎・優の従妹である瑠里はその死を不審に思いつつも、優の妹で病弱な舞の世話をする為に屋敷へ留まる。 自社の利益の為、政略結婚ばかりを押し付ける父の言いなりに、次の縁談を受ける優だが、次の花嫁候補は 不慮の事故で他界してしまう。次々と花嫁候補が亡くなる事を訝しむ瑠里だが、彼女も実は幼い頃から優に 恋をしていた。その秘めた想いを優の妹・舞は気づいてしまう。 やがて実父までが思わぬ事故で帰らぬ人になり、優の政略結婚はすべて白紙になるが……

月夜の晩、美しい歌声に惹かれて来た海の娘は陸の上の吟遊詩人に恋をした。海の娘は魔法使いをたずね「人間になりたい」と望み、夜間のみ人間になれる薬をもらう。そして愛しい吟遊詩人の許へ通い、二人は心を通わせる仲になる。やがて吟遊詩人も娘を愛し求婚するが、娘には素直に承諾できない理由があった。 そんな時、吟遊詩人の美声に嫉妬した海の魔物・セイレーンが彼を襲い、海へ突き落される。思わず助けに飛び込んだ娘は夜明けの朝日の中、本来の姿を吟遊詩人の前にさらしてしまう……

幼なじみの涼子とタケル。二人は今日、結婚式を挙げる。嬉しさに涙する涼子に一人、恨みの視線を向ける影があった。だけどそれに気づいた時、ウェディングドレスは血に染まる……

大学生になった双子の兄妹・忍と泉は平穏な日々を送っていた。だが泉は再度、忍の子を宿してしまう。 堕胎を拒否した二人は、密かに遠い地へと旅立つが、ある吹雪の夜、雪深い山奥の尼僧院へ迷い込む。 そこで親切なシスター達に助けられるが、忍に懸想する一人の若く妖艶なシスターが二人の秘密を察し、 忍を誘惑する。同時刻、泉に陣痛が始まり、遂に罪の子供が誕生する時が来る―――……