ケーニッヒ

ケーニッヒ

1
 ──走れ、この魔法が解ける前に  ──走れ、この身体が溶けて無くなる前に  ここは「可笑しなお菓子の博物館」。  コンビニよりちょっと広いくらいの小さな博物館にはチョコや飴、クッキーやビスケット、更にはお煎餅やかりん糖まで、とにかく色々なお菓子で作られた誰も見た事の無いような芸術品が展示されている。  身体がチョコレートで出来ている主人公「チョコ王子」は博物館の展示品の一つ。いいや、一人だった。  歩く事もお喋りをする事も出来ない彼には一つ、楽しみがあった。  それは自分に背を向けて展示されている 「飴細工の女の子」を見つめる事。  バイトの不良やうるさい悪ガキに嫌な事をされても王子は女の子を見つめるだけで何もかもを忘れる事が出来た。  しかし、ある事をきっかけにそんな彼女との別れが訪れて……
24h.ポイント 0pt
小説 193,790 位 / 193,790件 児童書・童話 3,642 位 / 3,642件
文字数 7,922 最終更新日 2022.12.06 登録日 2022.11.29
1