1
「……不法侵入だ」 「わいが言うのもなんやけど、自分、ずれてるって言われん?」 ぽてりと重たそうなまあるい頭につぶらな瞳。 ある日家に帰ったら、ぬいぐるみみたいな『ペンギン』に出迎えられた。 ぺたぺたと足音を立てながら家中を歩き回る。よく食べてよく寝て、私が出掛けている間にテレビを夢中で見ては電気代を底上げする。 20歳をきっかけに一人暮らしを始めたはずの私の生活に、この意味のわからない生き物は現れた。 世界を救うわけでもなく、異世界に迷い込むわけでもなく、特別な使命を課せられたわけでもなく、未知の生物とただ同居してるだけの毎日。 特に何があるわけでもないけれど、話し相手がいるだけで毎日が少しだけ生きやすい気がする。 間違いなく不思議で、でも確かに生活に溶け込んだ今の私の日常について。
24h.ポイント 0pt
小説 193,680 位 / 193,680件 ライト文芸 7,661 位 / 7,661件
文字数 31,968 最終更新日 2024.04.30 登録日 2024.04.30
1