segakiyui

segakiyui

『ラズーン』『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』連載中。メルマガ『ショートストーリーシリーズ』『指令T.A.K.I』『ドラゴン・イン・ナ・シティ』展開。

『桜の護王』10.直面(ひためん)(11)アップ。

「つまり…花王紋があると、護王に気持ちが伝わるの?」
「気持ちちゅうか、傷、ちゅうか。姫さんがひどく傷ついたら、俺がその傷みを背負う………俺は『丈夫』にできてるさかいな」
 皮肉めかした笑みがようやく護王の唇に戻った。
「祭の三日目に……その……そういう儀式があって。ほんとはそこで俺と姫さんが体の傷みも繋がるんやけど」
「あ…ああ」
 言われてようやく洋子も理解した。
「三日目って、つまり…護王と姫さんの初めての、ってこと…」
「うん…まあ…俺は…待ってられへんかったから」
 ふわあっとみるみる護王が赤くなって、つられて洋子も顔が熱くなって目を伏せた。
「じゃあ…もう…私と護王は…」
「うん……あんたが傷ついたら俺には伝わる……伝わるはずなんや。そやし、さっきはわけがわからへんで……何であんたが死んでるのに、俺にわからへんかったんやって、そう思たらもう…何が何や、わからへんようになって」
(ひょっとしたら)
 そこにはやはり『姫さん』ではないかもしれないという思いもあったのだろう。
コメント 0
登録日 2016.09.12 22:43

コメントを投稿する

1,000文字以内
この記事に関するコメントは承認制です

ログインするとコメントの投稿ができます。
ログイン  新規ユーザ登録

0

処理中です...

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。