『ラズーン』第一部 9.シェーランの山賊(コール)(4)(個人サイトでアップ)
(どうやら、しのげそうだな)
微かに苦笑しながら、アシャは飛びかかってきた山賊(コール)を1人戸口の外へ蹴り出し、もう1人を一緒に引きずり出した。外にまだ手が残っていてはたまらないと思ったせいだが、形勢不利と見たのか、それとも同時にどこかの家を襲って当初の目的は達成したのか、本来ならば闇に構えているはずの本隊の姿がない。
代わりに。
「っ」
目の前に立ち塞がった影に目を上げ、アシャはたじろいだ。
白馬に跨がった女性が1人、こちらを静かに見下ろしている。波打つ金色の髪、豊かな胸とくびれた腰、躯に巻き付く薄水色のドレス。白い指先が上品に手綱をそっと押さえて
いる。
美しい女性だった。
その顔が虚ろな骸骨でさえなければ。
「ミネルバ……」
『そなた、こんなところにおったのか、アシャ』
闇夜の果て、死の国から聞こえるような震える昏い響きが嗤った。
微かに苦笑しながら、アシャは飛びかかってきた山賊(コール)を1人戸口の外へ蹴り出し、もう1人を一緒に引きずり出した。外にまだ手が残っていてはたまらないと思ったせいだが、形勢不利と見たのか、それとも同時にどこかの家を襲って当初の目的は達成したのか、本来ならば闇に構えているはずの本隊の姿がない。
代わりに。
「っ」
目の前に立ち塞がった影に目を上げ、アシャはたじろいだ。
白馬に跨がった女性が1人、こちらを静かに見下ろしている。波打つ金色の髪、豊かな胸とくびれた腰、躯に巻き付く薄水色のドレス。白い指先が上品に手綱をそっと押さえて
いる。
美しい女性だった。
その顔が虚ろな骸骨でさえなければ。
「ミネルバ……」
『そなた、こんなところにおったのか、アシャ』
闇夜の果て、死の国から聞こえるような震える昏い響きが嗤った。
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登録日 2017.01.30 21:47
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