『ラズーン』第一部 9.シェーランの山賊(コール)(1)(個人サイトでアップ)
『太陽の池』を発って数日後、一行はシェーランに入った。
とっぷり暮れた日に、ひさしぶりに家屋の宿を探しにかかる。
「ごめん! 旅の者だが一番の宿を…」
「はいはい……」
細く扉を開けた相手はぎょっとした顔で固まり、次の瞬間顔を強ばらせて、ばたん、と手荒く閉めてしまった。
「おい! 怪しい者ではない!」
どんどん、と戸を叩いてイルファが喚くと、中から悲鳴のような叫びが応じる。
「嘘をつけ! 早くどっかへ行ってくれ! 山賊(コール)の手伝いなんか真っ平だ!!」
「山賊(コール)?」
アシャが眉をひそめるのに、イルファの様子を見守っていたユーノは訝しく目を向けた。
「何…コールって?」
「シェーランの辺境貿易商人……まあ、平たく言えば山賊、だ。ここ数年は大人しかったはずなんだが…」
「それで、なぜ俺を見て戸を閉めねばならん?」
ぼそりと言ったイルファに、思わず笑いを噛み殺す。
とっぷり暮れた日に、ひさしぶりに家屋の宿を探しにかかる。
「ごめん! 旅の者だが一番の宿を…」
「はいはい……」
細く扉を開けた相手はぎょっとした顔で固まり、次の瞬間顔を強ばらせて、ばたん、と手荒く閉めてしまった。
「おい! 怪しい者ではない!」
どんどん、と戸を叩いてイルファが喚くと、中から悲鳴のような叫びが応じる。
「嘘をつけ! 早くどっかへ行ってくれ! 山賊(コール)の手伝いなんか真っ平だ!!」
「山賊(コール)?」
アシャが眉をひそめるのに、イルファの様子を見守っていたユーノは訝しく目を向けた。
「何…コールって?」
「シェーランの辺境貿易商人……まあ、平たく言えば山賊、だ。ここ数年は大人しかったはずなんだが…」
「それで、なぜ俺を見て戸を閉めねばならん?」
ぼそりと言ったイルファに、思わず笑いを噛み殺す。
コメント 0件
登録日 2017.01.27 17:40
0
件
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。