segakiyui

segakiyui

『ラズーン』『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』連載中。メルマガ『ショートストーリーシリーズ』『指令T.A.K.I』『ドラゴン・イン・ナ・シティ』展開。

『朱の狩人』2. ADDICTED TO (2)アップ

 ソファベッドを倒してとりあえずは仁を寝かせ、マイヤ達を部屋に残して、内田と城崎は部屋を出た。
 院内でも奥まった場所だけに、患者も医療関係者もあまりうろうろしていない。しかも平日の夕方近く、人気がないのをいいことに、小さな内庭のベンチに並んで腰を降ろし、内田は厳しい顔になっている。
「城崎」
「うん?」
「どうしてあいつの傷がなくなってる?」
 内田はゆっくりと暮れ始めた空を見上げながら呟くように尋ねた。
 仁が気を失い、それは単にショックによる貧血のようなもの、女みたいなやつだよなとふざけながら、内田は仁を抱え上げてソファベッドに寝かせた。紺野が脈拍と呼吸を確認し、仁の首元まで止めたボタンを2つほど外すのに、例の内田を庇ってできたケロイドを予想して目を背けかけたが、次の瞬間ぎくりとした。
 傷は、なかった。
コメント 0
登録日 2017.01.23 23:41

コメントを投稿する

1,000文字以内
この記事に関するコメントは承認制です

ログインするとコメントの投稿ができます。
ログイン  新規ユーザ登録

0

処理中です...

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。