『桜の護王』10.直面(ひためん)(9)
「…姫…さん?」
低く掠れた声が洋子を抱き締めたまま、居心地悪そうに呼んだ。
「あんた……生きてるんや…?」
「うん……きついよ……ゆるめて…」
ようやく何とか応えられたが、護王は応えないし、腕の力を緩めもしない。ただ中途半端に浮かしていた腰をへた、と地面に落とし、浮き上がった洋子の体を逆に自分の胸元に引き寄せた。引きずられて、洋子はちょうど胡座をかいた膝の上に抱き込まれるような形になる。
そのまま黙って数分間、身動きできない不自由な体勢に洋子の体がきしみ始めたあたりで、ようやく護王はひび割れた声でつぶやいた。
「……たのむわ……」
聞こえるか聞こえないほどの囁きで、洋子の左肩に深く顔を埋めながら、
「……キレるか思た…」
低く掠れた声が洋子を抱き締めたまま、居心地悪そうに呼んだ。
「あんた……生きてるんや…?」
「うん……きついよ……ゆるめて…」
ようやく何とか応えられたが、護王は応えないし、腕の力を緩めもしない。ただ中途半端に浮かしていた腰をへた、と地面に落とし、浮き上がった洋子の体を逆に自分の胸元に引き寄せた。引きずられて、洋子はちょうど胡座をかいた膝の上に抱き込まれるような形になる。
そのまま黙って数分間、身動きできない不自由な体勢に洋子の体がきしみ始めたあたりで、ようやく護王はひび割れた声でつぶやいた。
「……たのむわ……」
聞こえるか聞こえないほどの囁きで、洋子の左肩に深く顔を埋めながら、
「……キレるか思た…」
コメント 0件
登録日 2016.09.10 23:40
0
件
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。