『朱の狩人』2. ADDICTED TO (1)アップ
「で、どういうことなんだか、応えてもらおうか」
城崎は宮岸病院の奥まった一室、カンファレンスルームと札はかかっているが、その実、城崎にしか入れない部屋で紺野と向き合っていた。
灰色のリノリウムの床、同色の壁の一方にはホワイトボードが設置され、焦茶色のテーブルを囲むようにパイプ椅子が置かれている。部屋にいるのは城崎だけではない、テレパシストのマイヤ、その恋人の念動力者のダリュー、それに別の壁に寄せて置かれた仮眠用ベッドにもなる焦茶色のカバーをかけたソファにテレポーターのさとるが、それぞれに紺野を凝視している。
「あんたは、仁を呼べ、と言った」
城崎は院内ではめったに見せない冷ややかな表情で紺野を見つめた。
「だが、仁は、俺達にとって『特別な』人間だ。おいそれと会わせるわけにはいかない」
「でも」
紺野は周囲の注目に怯えた様子もなく、ほんわりと微笑んだ。
「私、彼の世話をしていましたわ。重傷を負い、夜中にうなされ続けて苦しんでいた彼の」
「……」
体の中の見えない傷に触れられた、そんな顔でダリューが顔を背け、マイヤが強ばった声で応じた。
城崎は宮岸病院の奥まった一室、カンファレンスルームと札はかかっているが、その実、城崎にしか入れない部屋で紺野と向き合っていた。
灰色のリノリウムの床、同色の壁の一方にはホワイトボードが設置され、焦茶色のテーブルを囲むようにパイプ椅子が置かれている。部屋にいるのは城崎だけではない、テレパシストのマイヤ、その恋人の念動力者のダリュー、それに別の壁に寄せて置かれた仮眠用ベッドにもなる焦茶色のカバーをかけたソファにテレポーターのさとるが、それぞれに紺野を凝視している。
「あんたは、仁を呼べ、と言った」
城崎は院内ではめったに見せない冷ややかな表情で紺野を見つめた。
「だが、仁は、俺達にとって『特別な』人間だ。おいそれと会わせるわけにはいかない」
「でも」
紺野は周囲の注目に怯えた様子もなく、ほんわりと微笑んだ。
「私、彼の世話をしていましたわ。重傷を負い、夜中にうなされ続けて苦しんでいた彼の」
「……」
体の中の見えない傷に触れられた、そんな顔でダリューが顔を背け、マイヤが強ばった声で応じた。
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登録日 2017.01.20 23:27
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