segakiyui

segakiyui

『ラズーン』『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』連載中。メルマガ『ショートストーリーシリーズ』『指令T.A.K.I』『ドラゴン・イン・ナ・シティ』展開。

『朱の狩人』2. ADDICTED TO (1)アップ

「で、どういうことなんだか、応えてもらおうか」
 城崎は宮岸病院の奥まった一室、カンファレンスルームと札はかかっているが、その実、城崎にしか入れない部屋で紺野と向き合っていた。
 灰色のリノリウムの床、同色の壁の一方にはホワイトボードが設置され、焦茶色のテーブルを囲むようにパイプ椅子が置かれている。部屋にいるのは城崎だけではない、テレパシストのマイヤ、その恋人の念動力者のダリュー、それに別の壁に寄せて置かれた仮眠用ベッドにもなる焦茶色のカバーをかけたソファにテレポーターのさとるが、それぞれに紺野を凝視している。
「あんたは、仁を呼べ、と言った」
 城崎は院内ではめったに見せない冷ややかな表情で紺野を見つめた。
「だが、仁は、俺達にとって『特別な』人間だ。おいそれと会わせるわけにはいかない」
「でも」
 紺野は周囲の注目に怯えた様子もなく、ほんわりと微笑んだ。
「私、彼の世話をしていましたわ。重傷を負い、夜中にうなされ続けて苦しんでいた彼の」
「……」
 体の中の見えない傷に触れられた、そんな顔でダリューが顔を背け、マイヤが強ばった声で応じた。
コメント 0
登録日 2017.01.20 23:27

コメントを投稿する

1,000文字以内
この記事に関するコメントは承認制です

ログインするとコメントの投稿ができます。
ログイン  新規ユーザ登録

0

処理中です...

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。