『ラズーン』第一部 8.『太陽の池』(1)(個人サイトでアップ)
トクットクットクットクッ。
深閑とした森に3頭の馬の穏やかな蹄の音が響く。
「……と」
「扱いにくそうだな、ユーノ」
先頭のユーノが手綱を何度も引くのに、アシャは笑って声をかけた。
むっとしたようにユーノが振り返り、肩越しに眉を寄せながら応じる。
「そんなことはないよ。ヒストは良い馬だ」
その実、ユーノが額に『白い星(ヒスト)』がある栗毛の馬を扱い倦ねているのは明らかだ。
レノの乗りやすさから言えば格段に差のある、勘の強いヒストはレダト王から贈られた。一緒に度重なる襲撃をくぐり抜けてきたあの白馬(レノ)を、ユーノは今度の旅には連れてこなかったのだ。
「どうして、レノをセレドに置いてきた?」
アシャの問いにユーノは顔を背けて淡々と答える。
「……レノはボクにとって家族なんだ。こんな危険な旅に連れてくることはない」
「しかし、それは違うだろう」
3頭目、がっしりした体をゆさゆさと馬の足並みに揺らせているイルファが追い掛けてきて割り込み、アシャと並んだ。
「家族ほど信頼できる馬なればこそ、生死をかけた旅へも連れていく、というのが普通だろうが」
くす、とユーノは低く微かに笑った。
「生死を『賭けて』いるならね」
深閑とした森に3頭の馬の穏やかな蹄の音が響く。
「……と」
「扱いにくそうだな、ユーノ」
先頭のユーノが手綱を何度も引くのに、アシャは笑って声をかけた。
むっとしたようにユーノが振り返り、肩越しに眉を寄せながら応じる。
「そんなことはないよ。ヒストは良い馬だ」
その実、ユーノが額に『白い星(ヒスト)』がある栗毛の馬を扱い倦ねているのは明らかだ。
レノの乗りやすさから言えば格段に差のある、勘の強いヒストはレダト王から贈られた。一緒に度重なる襲撃をくぐり抜けてきたあの白馬(レノ)を、ユーノは今度の旅には連れてこなかったのだ。
「どうして、レノをセレドに置いてきた?」
アシャの問いにユーノは顔を背けて淡々と答える。
「……レノはボクにとって家族なんだ。こんな危険な旅に連れてくることはない」
「しかし、それは違うだろう」
3頭目、がっしりした体をゆさゆさと馬の足並みに揺らせているイルファが追い掛けてきて割り込み、アシャと並んだ。
「家族ほど信頼できる馬なればこそ、生死をかけた旅へも連れていく、というのが普通だろうが」
くす、とユーノは低く微かに笑った。
「生死を『賭けて』いるならね」
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登録日 2017.01.19 19:12
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