『ラズーン』第一部 7.アシャ(2)
「さて、夜も過ぎた。そろそろ休むことにしよう」
「うむ、久しぶりに楽しく呑んだ」
「長旅に豊かな憩いでした、ありがとうございます」
旅人の決まり文句を口にして立ち上がり、アシャはあくびをしながら部屋を出ていくイルファの後ろ姿を眺めながら、低い声で話し掛けた。
「王」
「心配するな。他言はせぬ」
レダト王もさりげなく声を低めて返してくる。
「何かしら事情があるのだろう。セレドの姫は確かにはねっかえりだが、聡く武に優れていると聞く。国境でたびたびの諍いにこちらの民を守ってくれたこともあると密かに聞き及んでいる。恩義を果たせてよかったと思うておる」
「………感謝いたします」
「……穏やかな旅であるとよいが」
それは果たせぬのであろうな、と続いたことばにアシャは無言で頭を下げ、部屋を出た。
すぐに寝室へ向かうつもりだったのだが、やはり気になってそっとユーノの部屋に忍び入る。
「レスファート…」
ベッドにはユーノと、その懐に潜り込むような格好でレクスファの王子が眠っている。2人とも安らかな寝息をたてていて、部屋には温かな空気が満ちている。
「うむ、久しぶりに楽しく呑んだ」
「長旅に豊かな憩いでした、ありがとうございます」
旅人の決まり文句を口にして立ち上がり、アシャはあくびをしながら部屋を出ていくイルファの後ろ姿を眺めながら、低い声で話し掛けた。
「王」
「心配するな。他言はせぬ」
レダト王もさりげなく声を低めて返してくる。
「何かしら事情があるのだろう。セレドの姫は確かにはねっかえりだが、聡く武に優れていると聞く。国境でたびたびの諍いにこちらの民を守ってくれたこともあると密かに聞き及んでいる。恩義を果たせてよかったと思うておる」
「………感謝いたします」
「……穏やかな旅であるとよいが」
それは果たせぬのであろうな、と続いたことばにアシャは無言で頭を下げ、部屋を出た。
すぐに寝室へ向かうつもりだったのだが、やはり気になってそっとユーノの部屋に忍び入る。
「レスファート…」
ベッドにはユーノと、その懐に潜り込むような格好でレクスファの王子が眠っている。2人とも安らかな寝息をたてていて、部屋には温かな空気が満ちている。
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登録日 2017.01.18 21:16
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