segakiyui

segakiyui

『ラズーン』『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』連載中。メルマガ『ショートストーリーシリーズ』『指令T.A.K.I』『ドラゴン・イン・ナ・シティ』展開。

『ラズーン』第一部 7.アシャ(1)

「『太陽の池』以来じゃな、アシャ」
「はっ」
「セレドに居たと聞いたが、レクスファは通らなかったではないか」
 レダト王が鬚をねじりながらからかう。
 アシャは薄笑いを浮かべて静かに頭を下げた。
「方向が逆でしたので」
「方向が逆……それは大儀であったろう、大陸をほとんど巡る旅じゃ」
 生真面目な顔で頷いたレダト王は次の瞬間破顔一笑、アシャも顔を綻ばせる。
「他人行儀はよそう! イルファも来るがよい! 久しぶりの『三人衆』じゃ!」
 上機嫌のレダト王に連れられ、アシャは王の私室へ招き入れられた。イルファものしのしと付き従う。
 数々の諸候に違わず、レダト王もまたアシャに好感を抱いている。だが、それはいつものようにアシャの巧みなやり取りや優雅な物腰のせいだけではなく、このレクスファにはアシャもまた深い関わりがあったからだ。
「『太陽の池』作戦……懐かしいな」
 見事な銀狼の毛皮を敷き詰めた王の部屋で、アシャはレダト王、イルファ同様ゆったりとクッションにもたれ腰を降ろした。手には銀の器に香り高い酒、含んで蘇った記憶に微笑む。
「こうしていると、あの頃のようじゃな」
 レダト王が目を細めて見返してくる。
コメント 0
登録日 2017.01.17 22:30

コメントを投稿する

1,000文字以内
この記事に関するコメントは承認制です

ログインするとコメントの投稿ができます。
ログイン  新規ユーザ登録

0

処理中です...

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。