『ラズーン』第一部 7.アシャ(2)(個人サイトでアップ)
「一瞬、ラズーンの神が我らを助けて下さったのかと思うた。あの神は性を持たぬというから」
レダト王のことばに、アシャは微かに笑みながら酒を含む。
(間違っているかというと……)
微妙なところだな、と胸の中で呟いたことばは、もちろん外には漏れていない。
「騙すなら、ずっと騙してほしかった」
酒をぐい、と煽ったイルファが深々と溜め息をついてぼやいた。
「あの戦いが済めば、お前を娶れるはずだった」
ちら、とレダト王とイルファが視線を交わしたのに、ほう、とアシャは唇の端をあげる。
「王もそのつもりだったんですね? 本人の承諾なしに? 私が男だとわからなければ、こいつに『手篭め』にされてたわけですか」
ほら、やっぱりまずいことになりかけていたんじゃないか、と皮肉ると、むっとしたようにイルファが唇を曲げた。
「だ、大体なあっ」
大声を張り上げて、ぐい、とアシャを指差す。
「お前が『女の格好』をしとるからいかんのだ! おまけに、どこの世界の男が、お前のように色っぽい!」
「あれは『女の格好』じゃない、ここへ来る前に居た『国の格好』だ」
アシャは冷ややかに突き放す。
レダト王のことばに、アシャは微かに笑みながら酒を含む。
(間違っているかというと……)
微妙なところだな、と胸の中で呟いたことばは、もちろん外には漏れていない。
「騙すなら、ずっと騙してほしかった」
酒をぐい、と煽ったイルファが深々と溜め息をついてぼやいた。
「あの戦いが済めば、お前を娶れるはずだった」
ちら、とレダト王とイルファが視線を交わしたのに、ほう、とアシャは唇の端をあげる。
「王もそのつもりだったんですね? 本人の承諾なしに? 私が男だとわからなければ、こいつに『手篭め』にされてたわけですか」
ほら、やっぱりまずいことになりかけていたんじゃないか、と皮肉ると、むっとしたようにイルファが唇を曲げた。
「だ、大体なあっ」
大声を張り上げて、ぐい、とアシャを指差す。
「お前が『女の格好』をしとるからいかんのだ! おまけに、どこの世界の男が、お前のように色っぽい!」
「あれは『女の格好』じゃない、ここへ来る前に居た『国の格好』だ」
アシャは冷ややかに突き放す。
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登録日 2017.01.15 15:47
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