「えっと……コーヒーがいい？それとも紅茶がいいかな」
「ど、どちらでも、おかまいなく……」

　やべぇ……スゲー緊張する！
　妹の計画なのかどうかわからないが、急用が入って帰る時間が遅れてしまうから、その間のおもてなしを頼まれた俺と、こちらへ到着してからいきなりそんなことを言われた彼女の戸惑いは半端なかった。
　しかも、こういう日に限って母も居ないとか……年頃の男女が家の中で二人っきりというのはマズイだろっ!?
　とりあえず、コーヒーを淹れてからミルクと砂糖を準備してリビングへ戻ると、見るからに固まって待っていた彼女を目の当たりにしてしまい、思わず天を仰ぐ。
　ヤバイ……可愛いけど、いろいろヤバイ……警戒されても仕方ねーよな。

「ミルクは？」
「あ、い、いれます、大丈夫ですっ」

　スイッチが入ったかのように動き出した彼女は、コーヒーが入ったマグカップを受け取り、ミルクと砂糖をいれてから、ゆっくりと口をつける。
　なんだか、小動物みたいな動きをするよな、この子。
　前から思っていたのだが、言動が可愛らしい。

「す、すみません。私に連絡を入れてくれていたら、お休みを邪魔することもなかったのですけど……」
「いや、別に休みだからといって、なにか予定があるわけでもなかったから、気にしなくていいよ」
「で、ですが……ご迷惑を……」
「迷惑だなんて思ってないよ。こうして話せる機会があったのが……嬉しいな……って」
「わ、私もっ」

　パッとこちらを見た彼女は、次の瞬間真っ赤になってしまったが、同じ気持ちであったのなら、とても嬉しい。