segakiyui

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『ラズーン』『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』連載中。メルマガ『ショートストーリーシリーズ』『指令T.A.K.I』『ドラゴン・イン・ナ・シティ』展開。

『未来を負うもの』7.闇からの声(1)アップ。

 仁は深くなる夜の街をひたひたと歩いている。夜と同じぐらい冷えた心の中に、響く声が繰り返し呼び掛けてくるのがわかる。
ー仁! 助けて! 仁! ここよ!
 胸に響く声は銀色だった。いつか見たあの夕刻の景色、倒れた内田の前に立っていた白いワンピースのマイヤ。そのイメージは、仁が葬った少年の心を掠めた、『夏越』がいる場所のイメージと重なっていた。
(銀色の器材、白い壁、幾つもの部屋、消毒薬と行き交う白衣、)
 そう、『夏越』は病院にいるのだ。
 仁は豊の心から読み取ったイメージを思い出した。
 豊がDNAを超能力で操作していたとするなら、確かに病院ほど適した場所はないだろう。万が一、『夏越』の姿なり実験道具なりが見つかったとしても、新しい医療の開発をしているということでごまかせる。
(病院…どこだ?)
 このあたりには大小合わせて4つある。個人医院はおそらく違う。途中で寄った本屋で見た地図からは病院を特定できなかった。駅の情報検索は人が使っていて使えなかった。
 時間が惜しい。1つ1つあたってみるつもりだったが、ともすれば漂い出し周囲を破壊して回りそうな感覚を締めつけながらの探索はひどく疲れた。だが手綱を緩めればおしまいだ。緊張を高めたとたん、『声』が聞こえ始めた。
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登録日 2017.01.08 13:35

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