『ラズーン』第一部 6.レクスファの王子(3)(個人サイトでアップ)
抱きかかえて表へ急ぐアシャに、イルファがいそいそとすれ違う。宿代も払っておけばいいな、と確認してくるのを、頼む、と応じて宿を出ると、真っ白な竜を一頭を繋いだ銀色の竜車が止まっていた。
ユーノを胸元に抱えながら乗り込んだアシャの後ろから、荷物を抱えたイルファが大きな体を押し込んでくるが、竜車(くるま)には依然余裕がある。
前に乗った御者の手から伸びた鞭が音をたて、ゆるゆると竜が歩み始める。何ごとかと遠巻きにしていた民衆が見送るなか、次第に速度を上げながら城の方へ向かっていく。
「一体どういう子どもなんだ?」
膝の上に抱いたユーノの頭を、そっと自分の胸にもたせかけるアシャに、イルファがおそるおそる尋ねてきた。
「お前が付いているということはただの小僧ではあるまいが。また何か面倒事に巻き込まれたのか」
「人を災厄の徴のように言うな。理由があって付き人をしている、貴族の子どもだ」
「ふうむ……貴族にしては気配が鋭かったぞ?」
「見かけで判断するのは懲りたと思ってたがな?」
くすりと笑うと、イルファが複雑な顔になって見返してきた。
「あれはそもそもお前が………そう言えば、あの時よりまた色っぽくなってないか」
「よせよ、気色悪い」
ユーノを胸元に抱えながら乗り込んだアシャの後ろから、荷物を抱えたイルファが大きな体を押し込んでくるが、竜車(くるま)には依然余裕がある。
前に乗った御者の手から伸びた鞭が音をたて、ゆるゆると竜が歩み始める。何ごとかと遠巻きにしていた民衆が見送るなか、次第に速度を上げながら城の方へ向かっていく。
「一体どういう子どもなんだ?」
膝の上に抱いたユーノの頭を、そっと自分の胸にもたせかけるアシャに、イルファがおそるおそる尋ねてきた。
「お前が付いているということはただの小僧ではあるまいが。また何か面倒事に巻き込まれたのか」
「人を災厄の徴のように言うな。理由があって付き人をしている、貴族の子どもだ」
「ふうむ……貴族にしては気配が鋭かったぞ?」
「見かけで判断するのは懲りたと思ってたがな?」
くすりと笑うと、イルファが複雑な顔になって見返してきた。
「あれはそもそもお前が………そう言えば、あの時よりまた色っぽくなってないか」
「よせよ、気色悪い」
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登録日 2017.01.08 11:56
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