『ラズーン』第一部 6.レクスファの王子(2)(個人サイトでアップ)
(おかしい)
身じろぎもしないユーノの背中にアシャは眉を寄せる。
ユーノがこんな舌戦に没頭するのを良しとするだろうか。どう考えても必要以上に相手を煽り過ぎている。相手が単純だからいいものの、ちょっと冷静な者ならばすぐに数を頼みに囲い込むかもしれない。ましてや、背後に数人、同様の近衛兵と見られる連中が控えている。多勢に無勢、一人をいきり立たせたところで活路が見出せるわけもない。
もう一度改めて、アシャは怒鳴っている男に向けていた視線をユーノに向け直した。
手は剣の柄にかかっている。緩やかに握りしめられ、またゆっくりと広げられる細い指。白く色を失って、まるで象牙の細工物のようだ。
ふいに、それは何かを耐えている仕草だと気づいた。同じ動きを自分で繰り返してみて、自分ならそれで何をしているのかを確認する。薄らぐ意識を何とか保たせておこうとする、無意識な手の動き、だ。
身じろぎもしないユーノの背中にアシャは眉を寄せる。
ユーノがこんな舌戦に没頭するのを良しとするだろうか。どう考えても必要以上に相手を煽り過ぎている。相手が単純だからいいものの、ちょっと冷静な者ならばすぐに数を頼みに囲い込むかもしれない。ましてや、背後に数人、同様の近衛兵と見られる連中が控えている。多勢に無勢、一人をいきり立たせたところで活路が見出せるわけもない。
もう一度改めて、アシャは怒鳴っている男に向けていた視線をユーノに向け直した。
手は剣の柄にかかっている。緩やかに握りしめられ、またゆっくりと広げられる細い指。白く色を失って、まるで象牙の細工物のようだ。
ふいに、それは何かを耐えている仕草だと気づいた。同じ動きを自分で繰り返してみて、自分ならそれで何をしているのかを確認する。薄らぐ意識を何とか保たせておこうとする、無意識な手の動き、だ。
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登録日 2017.01.07 07:20
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