『ラズーン』第一部 6.レクスファの王子(1)(個人サイトでアップ)
ユーノの容態が気になって、アシャはなかなか眠れなかった。夜中に何度か目を覚まし、額に汗を浮かべて喘いでいるようなことはないか、痛みを堪えて唇を噛みしめてないかと、様子を窺った。
そのたびに眠る前よりは静かな呼吸に安堵し、ふわりと頼りなく開いた唇に妙に落ち着かない気持ちになり、ごろりと床に寝転んではじっと闇に目を開いていた。
いつが最後だっただろう、こうして隣に眠る人間を案じて過ごしたのは。
いつからだろう、少し離れたところに居ても、人肌が空気を温め伝わってくるということを忘れてしまっていたのは。
それほど長く一人で旅をしてきたか。なのに今、こいつの側に居るのがひどく落ち着く、不思議なことだ。
ぼんやり思ったのが明け方で、次に目を覚ましたのは野太い声が呼ばわった時だった。
「奥に休まれているお客人に申し上げたい!」
がつんと後頭部を殴りつけてくるような、遠慮のない大声だった。
そのたびに眠る前よりは静かな呼吸に安堵し、ふわりと頼りなく開いた唇に妙に落ち着かない気持ちになり、ごろりと床に寝転んではじっと闇に目を開いていた。
いつが最後だっただろう、こうして隣に眠る人間を案じて過ごしたのは。
いつからだろう、少し離れたところに居ても、人肌が空気を温め伝わってくるということを忘れてしまっていたのは。
それほど長く一人で旅をしてきたか。なのに今、こいつの側に居るのがひどく落ち着く、不思議なことだ。
ぼんやり思ったのが明け方で、次に目を覚ましたのは野太い声が呼ばわった時だった。
「奥に休まれているお客人に申し上げたい!」
がつんと後頭部を殴りつけてくるような、遠慮のない大声だった。
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登録日 2017.01.07 00:26
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