segakiyui

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『ラズーン』『これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー』連載中。メルマガ『ショートストーリーシリーズ』『指令T.A.K.I』『ドラゴン・イン・ナ・シティ』展開。

『未来を負うもの』3.マイヤ・プロセツカヤ(1)アップ

「うわあああ……」
 内田は叫んだ。うなりを上げて注ぐ草の葉が、顔に腕に身体中に突き刺さるのを、両腕を上げて防ごうとする。
「さよなら、内田」
 マイヤはつぶやいて、向きを変えた。
「無駄よ。さとるはテレポーターなの。そんなことじゃ防げない。お望みなら、服の中でも傷つけられるわ」
「ふふっ、そりゃいいや」
 幼い声が響いて、背後に突然さとるが空中から出現した。小学校マークつきの黄色帽子の陰で悪戯っぽい笑みを浮かべると、ポケットに両手を突っ込んだまま、軽く息をとめるようにして目を閉じる。
「つあっ」 
 内田が悲鳴を上げて跳ね上がる。無理もない。鋭い無数のカッターの刃のように変わった雑草の葉が、服の下で跳ね回り、胸と言わず腹と言わず容赦なく切り裂いていくのだから。
「く、おっ」
 内田は刃の動きをとめようとするように転げ回った。
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登録日 2016.12.30 23:11

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