『未来を負うもの』2.邪神『夏越』アップ
暗闇の中に淡く輝く水槽がある。
大人が両手を広げたぐらいの大きさ、中にはねっとりと真珠色に光る液体がたたえられていて、たぷ、たぷ、と重苦しく揺れている。
水槽のほぼ中央に、人間の胎児のような生き物が浮かんでいた。白い体、大きなつるりとした頭。
細い手足が動いている。頭の真中あたりにある赤い目が二つ、その瞳は人間全てを憎んででもいるような傲慢さで光っている。
ー真竹カ。
人の胸に直接響いて来るような奇妙な『声』がつぶやいた。
水槽以外は深い闇に沈んでいる。暗がりの中から、水槽からの光を浴びて、1人の男が突然現れた。
男はうやうやしく水槽の中の胎児に向かって頭を下げた。
「浅葱豊が家に戻ります」
ー息子トハ接触シタノカ。
「いえ、まだです。……しかし、本当に浅葱仁も超能力者でしょうか。これまでには、そういう徴候は見られなかったようですが。大人しい平凡な学生です。豊は確かに、DNAを操る念動力を持っておりましたが、超能力の遺伝は確認されていないのでは」
口調は丁寧だが、どこかよそよそしい。
大人が両手を広げたぐらいの大きさ、中にはねっとりと真珠色に光る液体がたたえられていて、たぷ、たぷ、と重苦しく揺れている。
水槽のほぼ中央に、人間の胎児のような生き物が浮かんでいた。白い体、大きなつるりとした頭。
細い手足が動いている。頭の真中あたりにある赤い目が二つ、その瞳は人間全てを憎んででもいるような傲慢さで光っている。
ー真竹カ。
人の胸に直接響いて来るような奇妙な『声』がつぶやいた。
水槽以外は深い闇に沈んでいる。暗がりの中から、水槽からの光を浴びて、1人の男が突然現れた。
男はうやうやしく水槽の中の胎児に向かって頭を下げた。
「浅葱豊が家に戻ります」
ー息子トハ接触シタノカ。
「いえ、まだです。……しかし、本当に浅葱仁も超能力者でしょうか。これまでには、そういう徴候は見られなかったようですが。大人しい平凡な学生です。豊は確かに、DNAを操る念動力を持っておりましたが、超能力の遺伝は確認されていないのでは」
口調は丁寧だが、どこかよそよそしい。
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登録日 2016.12.29 23:45
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