『未来を負うもの』
「帰りたくないな」
夕焼けのオレンジに満たされた教室で、浅葱仁はつぶやいた。
「どうして今ごろ、父さんが見つかったんだろう」
ぼんやりと窓の外へ目を向ける。
空を激しく燃やしながら、太陽がゆっくりと沈んでいく。冷えた空気が足下からじんわりと浸していく。
仁の父は10歳の頃から行方不明だった。
いなくなったその日も、いつものように穏やかに笑って手を振り、会社に向かったのを覚えている。朝の光に溶けそうだ、そう思ったことも。
そして、そのまま、父親は帰って来なかったのだ、今日の今日まで、6年間も。
小さく溜息をついて、仁は首を振った。鞄を片付け始める。と、ふいに、キン、という高い金属音が耳を突いた。
「つ…」
鋭い錐のようなものが突っ込まれた気がして、とっさに耳を押さえた仁の視界を横切り、白いボールが飛び込んでくる。
「あ」
ガシャン!
不審に思う間もなく、ボールは教室の隅の花瓶を直撃した。派手な音とともに、花瓶が跳ね飛び、床に落ちる。
「やった…」
野球部だろうか、そう思いながら、舌打ちして窓を振り向き、仁は凍りついた。
窓は全面ぴっちりと閉まっている、もちろん、ガラスの穴もない。
「そんな」
夕焼けのオレンジに満たされた教室で、浅葱仁はつぶやいた。
「どうして今ごろ、父さんが見つかったんだろう」
ぼんやりと窓の外へ目を向ける。
空を激しく燃やしながら、太陽がゆっくりと沈んでいく。冷えた空気が足下からじんわりと浸していく。
仁の父は10歳の頃から行方不明だった。
いなくなったその日も、いつものように穏やかに笑って手を振り、会社に向かったのを覚えている。朝の光に溶けそうだ、そう思ったことも。
そして、そのまま、父親は帰って来なかったのだ、今日の今日まで、6年間も。
小さく溜息をついて、仁は首を振った。鞄を片付け始める。と、ふいに、キン、という高い金属音が耳を突いた。
「つ…」
鋭い錐のようなものが突っ込まれた気がして、とっさに耳を押さえた仁の視界を横切り、白いボールが飛び込んでくる。
「あ」
ガシャン!
不審に思う間もなく、ボールは教室の隅の花瓶を直撃した。派手な音とともに、花瓶が跳ね飛び、床に落ちる。
「やった…」
野球部だろうか、そう思いながら、舌打ちして窓を振り向き、仁は凍りついた。
窓は全面ぴっちりと閉まっている、もちろん、ガラスの穴もない。
「そんな」
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登録日 2016.12.28 23:50
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