『ラズーン』第一部 3.ラズーンよりの使者(1)(個人サイトでアップ)
「アシャーっ!」
「アシャ、どこにいるのー!」
花咲き乱れる庭園をいささか乱暴に駆け抜けたアシャは、小道の途中で突然体を捻って木立に飛び込んだ。すぐ後から、アシャの後ろ姿を見かけたのだろう、着飾った貴族の娘達が急ぎ足に通り過ぎていく。
「今ここで見かけたのに」「おかしいわね」「先にも見えない」「どこに行ったのかしら」
高い声で呼び交す鳴き鳥(メール)のようにさんざめきながら遠ざかる。
「…やれやれ」
木立の中、道に背を向け、耳をそばだてながらアシャは苦笑する。
「ここまで追い掛けられるとは思わなかったな」
宴のアシャの印象はこの国には強烈過ぎたらしい。ユーノの付き人におさまったと知らせが回ると、女だけではなく男までもが一晩付き合わないかとひっきりなしに声をかけてくる。予想はしていたし慣れてもいるが、いいかげんうんざりする。
「思った以上に緩いな、この国は」
「アシャ、どこにいるのー!」
花咲き乱れる庭園をいささか乱暴に駆け抜けたアシャは、小道の途中で突然体を捻って木立に飛び込んだ。すぐ後から、アシャの後ろ姿を見かけたのだろう、着飾った貴族の娘達が急ぎ足に通り過ぎていく。
「今ここで見かけたのに」「おかしいわね」「先にも見えない」「どこに行ったのかしら」
高い声で呼び交す鳴き鳥(メール)のようにさんざめきながら遠ざかる。
「…やれやれ」
木立の中、道に背を向け、耳をそばだてながらアシャは苦笑する。
「ここまで追い掛けられるとは思わなかったな」
宴のアシャの印象はこの国には強烈過ぎたらしい。ユーノの付き人におさまったと知らせが回ると、女だけではなく男までもが一晩付き合わないかとひっきりなしに声をかけてくる。予想はしていたし慣れてもいるが、いいかげんうんざりする。
「思った以上に緩いな、この国は」
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登録日 2016.12.19 22:30
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