本日の短編(21)後
涙が耳に入らないように気をつけながら身を起こして、手でぐしぐしと涙を拭う。
ああ……なんて嫌な夢。
もしかすると、現実だったかもしれない、そんな夢。
「お嬢様、おはようございます」
いつも通りの時間にマクシミリアンが部屋に入ってきて、寝起きが悪いわたくしがもう起きていることに少し驚いた顔をする。
……このマクシミリアンは、わたくしが知っているマクシミリアンなのかしら……?
「お嬢様……泣いているのですか?」
彼はわたくしの顔を見ると慌てたように駆け寄るとわたくしの頬を両手でふわりと包み、優しく額にキスをする。
「……こわい……夢をみたの」
涙が、嗚咽が、止まらなくてどうしていいのかわからない。
マクシミリアンは困惑したような顔をして、心配そうに首を傾げた。
「お嬢様。泣かないでください……私まで悲しくなります」
そう言ってマクシミリアンが優しく抱きしめてくれるから。
ああ、わたくしのマクシミリアンなんだ、という安堵感で胸が満ちていった。
「マクシミリアン、愛してるの。どこにも……行かないで」
感情の波に翻弄されながらうわ言のようにそんな言葉が口から零れる。
彼の胸に縋りついて、わたくしはまた嗚咽を漏らした。
マクシミリアンは少し驚いた顔をした後に。
「愛しています、どこにも行きませんよ」
と優しく囁いてくれた。
ああ……なんて嫌な夢。
もしかすると、現実だったかもしれない、そんな夢。
「お嬢様、おはようございます」
いつも通りの時間にマクシミリアンが部屋に入ってきて、寝起きが悪いわたくしがもう起きていることに少し驚いた顔をする。
……このマクシミリアンは、わたくしが知っているマクシミリアンなのかしら……?
「お嬢様……泣いているのですか?」
彼はわたくしの顔を見ると慌てたように駆け寄るとわたくしの頬を両手でふわりと包み、優しく額にキスをする。
「……こわい……夢をみたの」
涙が、嗚咽が、止まらなくてどうしていいのかわからない。
マクシミリアンは困惑したような顔をして、心配そうに首を傾げた。
「お嬢様。泣かないでください……私まで悲しくなります」
そう言ってマクシミリアンが優しく抱きしめてくれるから。
ああ、わたくしのマクシミリアンなんだ、という安堵感で胸が満ちていった。
「マクシミリアン、愛してるの。どこにも……行かないで」
感情の波に翻弄されながらうわ言のようにそんな言葉が口から零れる。
彼の胸に縋りついて、わたくしはまた嗚咽を漏らした。
マクシミリアンは少し驚いた顔をした後に。
「愛しています、どこにも行きませんよ」
と優しく囁いてくれた。
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登録日 2018.11.22 00:33
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