本日の短編(20)
マクシミリアンとビアンカの昔からの習慣。
『おはようとおやすみと』
「おはようございます、お嬢様」
わたくしの朝は、マクシミリアンの声で始まる。
朝の光の中無理やり体を起こして、ふにゃふにゃと寝ぼけながらマクシミリアンの方を見ると、毎朝のことなのに彼は楽しそうな顔でこちらに手を広げている。
わたくしはその腕にぽふりと飛び込んで、マクシミリアンにそのまま抱きしめられた。
そして、その温かさが心地よくてマクシミリアンの腕の中でうとうととしてしまう。
「お嬢様、眠ってはいけませんよ」
「マクシミリアン、ねむいの……」
眠ってはいけない、と言うくせにマクシミリアンが優しく頭を撫でてくれるから、わたくしの意識はとろりと溶けてしまいそうになる。
マクシミリアンとの『おはようとおやすみのハグ』は子供の時からの習慣だ。
7歳になる直前からだから、もう6年と少しの間、毎日やっている。
始めは慣れなくて緊張したのだけど慣れてからは躊躇なくハグされるようになってしまい……。
今考えると幼い頃からマクシミリアンに少しずつ慣らされていたんじゃないか、とも思う。
「お嬢様、起きてください」
マクシミリアンの腕の中で夢の世界へ旅立とうとしていたわたくしに、彼は優しい声をかけながら頬に何度かキスをした。
――わたくし、よだれとか、垂らしてない!?
はっとそれに思い当たり、わたくしの意識は一気に覚醒した。
よだれを垂らした顔にキスなんて、させられない!!
一応乙女なんだから!
「マクシミリアン、起きた。起きたわ!」
わたくしがそう言って身を離そうとすると、マクシミリアンは少し残念そうな顔をした。
『おはようとおやすみと』
「おはようございます、お嬢様」
わたくしの朝は、マクシミリアンの声で始まる。
朝の光の中無理やり体を起こして、ふにゃふにゃと寝ぼけながらマクシミリアンの方を見ると、毎朝のことなのに彼は楽しそうな顔でこちらに手を広げている。
わたくしはその腕にぽふりと飛び込んで、マクシミリアンにそのまま抱きしめられた。
そして、その温かさが心地よくてマクシミリアンの腕の中でうとうととしてしまう。
「お嬢様、眠ってはいけませんよ」
「マクシミリアン、ねむいの……」
眠ってはいけない、と言うくせにマクシミリアンが優しく頭を撫でてくれるから、わたくしの意識はとろりと溶けてしまいそうになる。
マクシミリアンとの『おはようとおやすみのハグ』は子供の時からの習慣だ。
7歳になる直前からだから、もう6年と少しの間、毎日やっている。
始めは慣れなくて緊張したのだけど慣れてからは躊躇なくハグされるようになってしまい……。
今考えると幼い頃からマクシミリアンに少しずつ慣らされていたんじゃないか、とも思う。
「お嬢様、起きてください」
マクシミリアンの腕の中で夢の世界へ旅立とうとしていたわたくしに、彼は優しい声をかけながら頬に何度かキスをした。
――わたくし、よだれとか、垂らしてない!?
はっとそれに思い当たり、わたくしの意識は一気に覚醒した。
よだれを垂らした顔にキスなんて、させられない!!
一応乙女なんだから!
「マクシミリアン、起きた。起きたわ!」
わたくしがそう言って身を離そうとすると、マクシミリアンは少し残念そうな顔をした。
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登録日 2018.11.20 08:11
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