夕日(夕日凪)

夕日(夕日凪) (著者名:夕日(夕日凪))

ちまちまと色々投稿しています。書籍もちょこちょこ。一般文芸系は夕日凪、それ以外は夕日という名義です。

本日の短編(17)

本日の短編。
マクシミリアンとジョアンナ、使用人がだらだらするだけの話。



『使用人達の午後』

 使用人サロンの高位貴族の使用人に用意された部屋で、私はだらだらとしていた。
 お嬢様を次にお迎えに行くまで約三時間。
 現在生活必需品に足りないものもないし、寮の部屋も奇麗に片づけてある。
 シュラット侯爵に頼まれていた書類仕事も先ほど終わらせた。
 ……つまりは仕事が何もないのだ。
 ネクタイに指を通し軽く緩め、長椅子に深く腰掛けて足を組んでリラックスする。
 テーブルの上のベルを鳴らすとサロンに配属されているページボーイが駆けつけてきたので、飲み物を頼んでからチップを渡した。

「……仮眠でもするかな。いや……」

 以前ここで仮眠をしていた時。
 気配を感じて目を開けると他所の家のメイドが私の上に乗ろうとしており、思わず蹴り飛ばしてしまったことがあった。
 ……正直、あれは怖かった。肉食にもほどがあるだろう。
 暗殺者ならともかく一般人を『犬』に噛み千切らせるわけにもいかないしな……。
 話を嗅ぎつけたジョアンナには爆笑されるし、本当に散々だった。
 ――仮眠は、止めておこう。

「マックス~いたいた。暇でしょ?」

 相変わらずノックもせずにジョアンナが部屋へと入ってきた。
 手には何か箱を持っている……ボードゲームの類か。
 当たり前だが、私が暇な時はコイツも暇だ。

「ボードゲームしようぜ、マックス」

 にしし、と笑ってジョアンナがテーブルの上にゲームをセッティングしていく。
 色とりどりのタイルを使った陣取りゲームのようだ……コイツ、自分の得意なヤツを持ってきたな。子供か、この女は。

「……それとも、仮眠したい? また襲われちゃう?」

 意地悪げに言うジョアンナに向けてテーブルの上にあったオレンジを投げつけると、彼女のおでこに少し痛そうな音を立てて当たった。

「痛いわよ! マックス!」
「うるさい。そっちが悪い」

 ……人のトラウマをほじくるからだ。
 その後ハウンドも参加し、のんびりとした午後は過ぎていった。
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登録日 2018.11.18 07:12

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