夕日(夕日凪)

夕日(夕日凪) (著者名:夕日(夕日凪))

ちまちまと色々投稿しています。書籍もちょこちょこ。一般文芸系は夕日凪、それ以外は夕日という名義です。

本日の短編(14)

本日の短編。
斉藤優吾君とみこちゃんのもしもの話。
みこちゃんが海で溺れなくて転生せず、
ユウ君とお友達付き合いが続いていたら。


『もしかするとあったかもしれない話』

 僕、斉藤優吾、二十歳は我慢していた。
 高校の同級生、そして僕の片想いの相手の春原みことちゃんはとても鈍い。
 だから、こんなことになるんだ。
 ちらり、と横に視線を向けるとみこちゃんは安らかな寝息を立てている。

 僕の、一人暮らしのマンションのベッドで。

 僕に会いに離島から遊びに来てくれたのは嬉しいよ。
 だけど『ユウ君、ホテル取るの忘れてたから泊めてー』って僕の部屋に転がり込むのはないでしょう!?
 僕って、そんなに……みこちゃんにとって対象外の男なの……?
 みこちゃんの安らかで可愛い寝顔を見ながら、僕はため息をついた。

 ここ数年、僕は可愛いみこちゃんに恥ずかしくない男になろうと頑張った。
 T大生で、副業は大手出版社から刊行されている雑誌のモデル。
 モデルで得た資金を元に最近は起業もしてそちらも順調だ。
 みこちゃん以外の女の子は、光にたかる虫のようにどんどん寄って来る。
 ……だけど君は、僕のことを意識すらしていない。
 告白してもライトノベルの主人公ばりに何度もスルーされてしまったし。

「みこちゃん」

 呟いてみこちゃんの可愛い頬を指で突くと、みこちゃんはむにゃむにゃと何か言った。
 …………安らかな顔しちゃって。
 ちょっとムカッとしてみこちゃんの柔らかな頬をぷにぷにと激しく押した。

「みこちゃん、大好き。僕と付き合って?」
「……ふぇい!?!」

 寝ていると思っていたみこちゃんから、変な声が上がった。
 ……頬を突きすぎたか。

「……ユウ君、なんか今、幻聴が聞こえた」

 みこちゃんは目を開いて真っ赤な顔で僕を見る。

「みこちゃん。結婚して?」
「幻聴が悪化してるよユウ君!!」


みことが溺れてなかったら、未来にあったお話でした。
ビアンカはマクシミリアンのものでも、
みこちゃんはユウ君のものなんです、という作者のこだわり。
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登録日 2018.11.13 06:16

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