『桜の護王』15.無限環(10)アップ。(個人サイトにて)
「ううん……ああ、ほら、朝切ったって指、見せて」
「あ、うん」
護王が一瞬ためらって左の指を差し出した。傷テープがうっすらと赤く染まっている。
「なんか最近治りが悪いんや」
「ああ…そうかも、しれないな」
「そうかもって……困るやんか、そんなん」
「どうして」
「どうしてって……」
護王は僅かに赤くなった。
「怪我の治り悪かったら、姫さん護るのに困るやんか…」
「でも、それだけ一緒に歳がとれるよ、きっと」
洋子が微笑むとまた護王は微妙に赤くなった。
「そやけど……そら……あんたと一緒におられるのは……嬉しいけど……」
「それに」
洋子はぺり、と傷テープを剥がした。痛そうに眉をしかめる護王に苦笑してみせて、そっと右手の指先を当てる。温かな日射しが差し込む中で、それでもはっきりときらきらした光が洋子の指から流れ出て、護王の指を包むようにまとわりつくのが見えた。
「私が治癒力きちんと使えるようになったんだから、何かあったら私が面倒見るよ」
「!」
「あ、ごめん、痛かった?」
びくっ、といきなり護王が体を震わせて、洋子は慌てて指を離した。俯き加減で口元を押さえている護王を覗き込む。
「…いややねん」
「は?」
「……姫さん……それ…他のやつにも使う気やろ?」
「あ、うん」
護王が一瞬ためらって左の指を差し出した。傷テープがうっすらと赤く染まっている。
「なんか最近治りが悪いんや」
「ああ…そうかも、しれないな」
「そうかもって……困るやんか、そんなん」
「どうして」
「どうしてって……」
護王は僅かに赤くなった。
「怪我の治り悪かったら、姫さん護るのに困るやんか…」
「でも、それだけ一緒に歳がとれるよ、きっと」
洋子が微笑むとまた護王は微妙に赤くなった。
「そやけど……そら……あんたと一緒におられるのは……嬉しいけど……」
「それに」
洋子はぺり、と傷テープを剥がした。痛そうに眉をしかめる護王に苦笑してみせて、そっと右手の指先を当てる。温かな日射しが差し込む中で、それでもはっきりときらきらした光が洋子の指から流れ出て、護王の指を包むようにまとわりつくのが見えた。
「私が治癒力きちんと使えるようになったんだから、何かあったら私が面倒見るよ」
「!」
「あ、ごめん、痛かった?」
びくっ、といきなり護王が体を震わせて、洋子は慌てて指を離した。俯き加減で口元を押さえている護王を覗き込む。
「…いややねん」
「は?」
「……姫さん……それ…他のやつにも使う気やろ?」
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登録日 2016.12.01 20:23
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