夕日(夕日凪)

夕日(夕日凪) (著者名:夕日(夕日凪))

ちまちまと色々投稿しています。書籍もちょこちょこ。一般文芸系は夕日凪、それ以外は夕日という名義です。

本日の短編(10)

本日の短編。
今日もバカップルのお話です。
時系列的にはミーニャ王子後、学園祭前。



『お嬢様のお耳・1』

 お嬢様がミーニャ王子からの贈り物の『獣人化』できるお薬を自分も飲みたいと言い出した。
 学園祭の仮装で使用したいらしい。
 しかしあの薬……特殊なものであるし、何が入っているか分からない。
 お嬢様のお体に万が一のことがあったら困るので、ジョアンナに頼みストラタス商会の薬学部門で確認してもらったところ人体に全く害はないようで一安心した。
 ……私自身はなんの確認もせずに飲んでしまったが、お嬢様の手ずから頂いたものに害があるのならそれは仕方がないと思っている。
 それを聞いたお嬢様は『もっと自分を大事にして! 貴方私が渡したら毒でも飲みそうよ!』と悲鳴を上げた。
 当然、毒でも頂いたら飲みますが……。

「じゃあ、飲むわね」

 お嬢様はキラキラと瞳を期待で輝かせ小瓶に入った青い液体を一口飲んだ。
 ちなみにこの薬を……というかこの薬を飲んで狼の獣人になった私をお嬢様が大変お気に召している為ミーニャ王子からはダース単位で在庫をもぎとって、いや、頂いている。
 生温かい目で『お盛んだな……』と呟かれたが、なんのことやら。勝手にいかがわしい想像をしないで頂きたい。
 液体を飲んだお嬢様は見るからにわくわくしながら、今か今かとその時を待っている。
 その様子はとても可愛らしく私は内心悶えながらも平静な顔を保つ努力をした。
 うちのお嬢様は本当に可愛い。
 一見聡明で凛とし近づき辛い印象を与える彼女の柔らかで愛らしい本質は親しくならないとなかなか人には伝わらないし、伝わらなくてよいと私は思っている……主に彼女に恋慕の眼差しを向ける男共には。
 そんなことを考えながらお嬢様に見惚れていると、お嬢様の頭に可愛らしい白い二本のお耳が生えた。



次回、いじられ(物理)お嬢様。
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登録日 2018.11.10 05:19

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