夕日(夕日凪)

夕日(夕日凪) (著者名:夕日(夕日凪))

ちまちまと色々投稿しています。書籍もちょこちょこ。一般文芸系は夕日凪、それ以外は夕日という名義です。

本日の短編(8)

本日の短編。ゆるめの。
時系列的にはお付き合い後、学園祭前。


『彼に推しを説明する・1』

 わたくしは寮の部屋でマクシミリアンに膝枕をしてもらい、のんびりと休日の午後を過ごしていた。
 胸の上にはマクシミリアンが出してくれた黒い子犬を抱いてその毛並みの手触りを堪能している……黒の滑らかな被毛がとても気持ちいい。
 マクシミリアンはなんだか楽しそうな表情で、飽きずにずっとわたくしの髪を手で梳いていた。
 子犬の体温とマクシミリアンの手の感触の心地よさで思わずウトウトとして目を閉じると、さらりとした髪が触れる感触と共に柔らかなものが唇に落ちてきた。
 それに驚いて目を開ければ、とても近い位置にマクシミリアンの端正な美貌があってわたくしの目は一気に覚めてしまう。
 ……不意打ちで世界で一番好みのお顔が近くにあるとか、し……心臓が止まる!
 しかも急にキスするなんて……!

「キスしたでしょ!!」
「はい、しました」

 真っ赤な顔で問うと、彼は悪びれもせず悪戯っぽい笑顔を浮かべて言った。
 うう、至近距離で推しの可愛い笑顔だなんて、許してしまうじゃない……!

「やっぱりマクシミリアンのお顔はずるいと思うの! 推しの顔がよすぎる! お金払わせて!!」

 恥ずかしくて思わず両手で顔を隠してじたばたしながら叫ぶと、マクシミリアンは怪訝そうな顔をした。

「お嬢様、お給金はもう頂いておりますよ?」
「ああ……そうじゃなくて! 推しに課金出来ないのがつらいの……!」
「お嬢様。以前から気になっていたのですが……『推し』とはなんでしょう?」

 マクシミリアンに訊かれて、わたくしは思わず固まってしまった。
 ……前世から貴方のことが1番好きでしたって、せ……説明しなきゃならないですかね……!?



次回で終わる感じです。
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登録日 2018.11.09 06:58

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