『周一郎舞台裏』2.シーン202ーーシーン118(4)アップ。
脚本を受け取り捲りかけたが、カミソリの傷は結構深くて痛むものだ。日にちがたてば楽になるのだろうが、指先の敏感な神経をささくれ立った木で撫で上げられた気がして、思わず顔を歪める。
「あ、オレ、捲ろうか」
修一の表情に気づいたのか、部屋を汚しプレゼントを踏み散らかした代償と言わんばかりに、急いで垣が脚本を取り上げる。
(滝、そっくり)
今度はふわりと笑ってしまった。
「速かったり遅かったりしたら言ってくれよ」
「うん」
1ページずつ、覗き込む修一の視線を見ながら頁を捲ってくれる垣の仕草に、心のどこかが静かに吐息をつくのがわかる。ほっとしている。安堵している。これ以上傷つけられずに済む、そう呟く声が聴こえてくる。
(僕が…くつろいでる……?)
垣の行動は、ただ単に映画界のサラブレッドとしての修一に対するへつらいかも知れないのに。修一のコネにすり寄る、あまたの大人達と同じなのかも知れないのに。
(これじゃ、まるで周一郎の行動の繰り返しじゃないか)
自分の心の動きに戸惑う、それこそ『まるで』周一郎の想いをトレースするように。
(こんなこと、初めてだ)
「あ、オレ、捲ろうか」
修一の表情に気づいたのか、部屋を汚しプレゼントを踏み散らかした代償と言わんばかりに、急いで垣が脚本を取り上げる。
(滝、そっくり)
今度はふわりと笑ってしまった。
「速かったり遅かったりしたら言ってくれよ」
「うん」
1ページずつ、覗き込む修一の視線を見ながら頁を捲ってくれる垣の仕草に、心のどこかが静かに吐息をつくのがわかる。ほっとしている。安堵している。これ以上傷つけられずに済む、そう呟く声が聴こえてくる。
(僕が…くつろいでる……?)
垣の行動は、ただ単に映画界のサラブレッドとしての修一に対するへつらいかも知れないのに。修一のコネにすり寄る、あまたの大人達と同じなのかも知れないのに。
(これじゃ、まるで周一郎の行動の繰り返しじゃないか)
自分の心の動きに戸惑う、それこそ『まるで』周一郎の想いをトレースするように。
(こんなこと、初めてだ)
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登録日 2016.12.01 01:15
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