本日の短編(7)中
「でも、もう家族はこの力のことを知っているよ」
あの人達はいずれ秘密を抱えることに耐えられず、私がこの力を持っていることを他人に話してしまうだろう。
幼い私でも、そんな確信はあった。
「大丈夫、彼らのこの魔法に関する記憶は僕の魔法で消してあげる。君を愛する家族に、彼らは戻るんだ」
叔父の言葉に、私は大きく目を開いた。
……翌日。
叔父の言う通り家族は『犬』に関わる記憶を……すっかり忘れていた。
「おはよう、マクシミリアン。よく眠れた?」
母が、父が、私に優しく笑いかける。
この2年間のことなんて……2年間の私の苦しみなんて。
何もなかったかのように。
「おはよう、よく眠れたよ」
そう言って私は、笑おうとしたけれど……上手く笑うことが、できなかった。
「そういえばもうすぐお前の誕生日だな。何か欲しいものはあるか?」
父の言葉にそういえばそんなものもあったな、と冷えた心で思う。
「……俺が生まれたことを、祝ってくれるの?」
「当たり前でしょう? 可愛い息子の誕生日を祝わなかったことなんてある? 貴方が無事生まれてくれたことに、私達感謝しているのよ」
楽しそうに言う母の言葉に『嘘だ』と喚き散らしたくなる気持ちをこらえて。
私は、『家族』の輪に入るべく歩みを進めた。
あの人達はいずれ秘密を抱えることに耐えられず、私がこの力を持っていることを他人に話してしまうだろう。
幼い私でも、そんな確信はあった。
「大丈夫、彼らのこの魔法に関する記憶は僕の魔法で消してあげる。君を愛する家族に、彼らは戻るんだ」
叔父の言葉に、私は大きく目を開いた。
……翌日。
叔父の言う通り家族は『犬』に関わる記憶を……すっかり忘れていた。
「おはよう、マクシミリアン。よく眠れた?」
母が、父が、私に優しく笑いかける。
この2年間のことなんて……2年間の私の苦しみなんて。
何もなかったかのように。
「おはよう、よく眠れたよ」
そう言って私は、笑おうとしたけれど……上手く笑うことが、できなかった。
「そういえばもうすぐお前の誕生日だな。何か欲しいものはあるか?」
父の言葉にそういえばそんなものもあったな、と冷えた心で思う。
「……俺が生まれたことを、祝ってくれるの?」
「当たり前でしょう? 可愛い息子の誕生日を祝わなかったことなんてある? 貴方が無事生まれてくれたことに、私達感謝しているのよ」
楽しそうに言う母の言葉に『嘘だ』と喚き散らしたくなる気持ちをこらえて。
私は、『家族』の輪に入るべく歩みを進めた。
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登録日 2018.11.06 06:18
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