ひ〜。ま、マクシミリアンさま。なんつ〜か、うーむ。
本日の短編(4)
お誕生日のお話ラスト。
『令嬢と執事と誕生日・4』
マクシミリアンの広げた手を見ながらわたくしは少し躊躇する。
だけど期待をするようなキラキラとした目で見つめられ、とうとう根負けしてマクシミリアンの腕の中にそっと倒れ込んだ。
するとマクシミリアンは優しくわたくしを抱きしめて、
「お嬢様のおかげで毎年素敵な誕生日を過ごせております。本当にありがとうございます」
とわたくしの耳元に唇を寄せ低く甘やかな声で囁いた。
こ……腰が砕けそうになるからそんなに風に囁かないで!!
「本当に? 毎年ちゃんと、喜んでもらえてる?」
「はい。……こんな私でも生まれてよかったのだと思えて……。お嬢様のおかげで毎年、とても幸せです」
わたくしの問いに、マクシミリアンは妙な返しをした。
……こんな私でも、生まれてよかった?
彼が家族と不仲だという話は聞いた事がないけれど。
もしかすると聞いてはいけない事情のようなものが、彼にはあるのかもしれない。
「お嬢様。これからも私の誕生日を一緒に祝って頂けますか?」
「マクシミリアン……」
もちろんだ、と言いたかったけれど……。
わたくしは数年後、この国にすらいないかもしれない。
だから彼の言葉に頷けずになんと答えようかと悩んでいると。
「……ずっと一緒に、いて下さいますよね?」
苦しいくらいに強く抱きしめられ、縋るような声音で囁かれて。
わたくしは思わず首を縦に振ってしまったのだった。
(出来ない約束をするなんて、不誠実ね)
彼の胸の中で、わたくしはため息をついた。
近い未来にマクシミリアンから想いを告げられ、更にその後お付き合いする事になり……彼と共にある方法を模索するようになるなんて。
今のわたくしは知らないのだ。
『令嬢と執事と誕生日・4』
マクシミリアンの広げた手を見ながらわたくしは少し躊躇する。
だけど期待をするようなキラキラとした目で見つめられ、とうとう根負けしてマクシミリアンの腕の中にそっと倒れ込んだ。
するとマクシミリアンは優しくわたくしを抱きしめて、
「お嬢様のおかげで毎年素敵な誕生日を過ごせております。本当にありがとうございます」
とわたくしの耳元に唇を寄せ低く甘やかな声で囁いた。
こ……腰が砕けそうになるからそんなに風に囁かないで!!
「本当に? 毎年ちゃんと、喜んでもらえてる?」
「はい。……こんな私でも生まれてよかったのだと思えて……。お嬢様のおかげで毎年、とても幸せです」
わたくしの問いに、マクシミリアンは妙な返しをした。
……こんな私でも、生まれてよかった?
彼が家族と不仲だという話は聞いた事がないけれど。
もしかすると聞いてはいけない事情のようなものが、彼にはあるのかもしれない。
「お嬢様。これからも私の誕生日を一緒に祝って頂けますか?」
「マクシミリアン……」
もちろんだ、と言いたかったけれど……。
わたくしは数年後、この国にすらいないかもしれない。
だから彼の言葉に頷けずになんと答えようかと悩んでいると。
「……ずっと一緒に、いて下さいますよね?」
苦しいくらいに強く抱きしめられ、縋るような声音で囁かれて。
わたくしは思わず首を縦に振ってしまったのだった。
(出来ない約束をするなんて、不誠実ね)
彼の胸の中で、わたくしはため息をついた。
近い未来にマクシミリアンから想いを告げられ、更にその後お付き合いする事になり……彼と共にある方法を模索するようになるなんて。
今のわたくしは知らないのだ。
コメント 2件
登録日 2018.11.05 16:33
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