夕日(夕日凪)

夕日(夕日凪) (著者名:夕日(夕日凪))

ちまちまと色々投稿しています。書籍もちょこちょこ。一般文芸系は夕日凪、それ以外は夕日という名義です。

本日の短編(4)

お誕生日のお話ラスト。



『令嬢と執事と誕生日・4』

 マクシミリアンの広げた手を見ながらわたくしは少し躊躇する。
 だけど期待をするようなキラキラとした目で見つめられ、とうとう根負けしてマクシミリアンの腕の中にそっと倒れ込んだ。
 するとマクシミリアンは優しくわたくしを抱きしめて、

「お嬢様のおかげで毎年素敵な誕生日を過ごせております。本当にありがとうございます」

 とわたくしの耳元に唇を寄せ低く甘やかな声で囁いた。
 こ……腰が砕けそうになるからそんなに風に囁かないで!!

「本当に? 毎年ちゃんと、喜んでもらえてる?」
「はい。……こんな私でも生まれてよかったのだと思えて……。お嬢様のおかげで毎年、とても幸せです」

 わたくしの問いに、マクシミリアンは妙な返しをした。
 ……こんな私でも、生まれてよかった?
 彼が家族と不仲だという話は聞いた事がないけれど。
 もしかすると聞いてはいけない事情のようなものが、彼にはあるのかもしれない。

「お嬢様。これからも私の誕生日を一緒に祝って頂けますか?」
「マクシミリアン……」

 もちろんだ、と言いたかったけれど……。
 わたくしは数年後、この国にすらいないかもしれない。
 だから彼の言葉に頷けずになんと答えようかと悩んでいると。

「……ずっと一緒に、いて下さいますよね?」

 苦しいくらいに強く抱きしめられ、縋るような声音で囁かれて。
 わたくしは思わず首を縦に振ってしまったのだった。

 (出来ない約束をするなんて、不誠実ね)

 彼の胸の中で、わたくしはため息をついた。
 近い未来にマクシミリアンから想いを告げられ、更にその後お付き合いする事になり……彼と共にある方法を模索するようになるなんて。
 今のわたくしは知らないのだ。
登録日 2018.11.05 16:33

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2
2018.11.05 23:24
佐賀県

ひ〜。ま、マクシミリアンさま。なんつ〜か、うーむ。

解除
2018.11.05 16:40
夕日(夕日凪)
夕日(夕日凪)

次回更新からはうさみみのお嬢様がマクシミリアンにいじられまくる(物理)話になる予定です。

解除
2

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