夕日(夕日凪)

夕日(夕日凪) (著者名:夕日(夕日凪))

ちまちまと色々投稿しています。書籍もちょこちょこ。一般文芸系は夕日凪、それ以外は夕日という名義です。

本日の短編(1)

リハビリの為の1日1短編。


『令嬢と執事と誕生日・1』
 

 マクシミリアンとずっと一緒に居るのにも関わらず、彼の好みがいまいち見えてこない。
 お肉と紅茶……が好きなのは知っているけれど。
 もっと踏み込んだ好みを知りたいというか……。

 つまりわたくしは、彼に誕生日のプレゼントを贈りたいのだ。

 誕生日プレゼントは前世の記憶が蘇ってからはもちろん毎年贈っている。
 だけどマクシミリアンはどんな物をあげても喜んでくれるので……明確な彼の好みが分からないまま今まで過ごしてしまった。
 ゲーム開始時の彼と同じ年齢になった記念という意味も込めて、今年こそは彼の好みにぴったりなものをプレゼントしたい!
 そう意気込んでジョアンナに相談してみたけれど。

「……マックスの好きなものは、お嬢様がお心を込めて選びお渡しするもの全てだと思いますよ?」

 と生温かいものを見るような表情で、珍しく酷く気を遣った事を言われてしまった。
 ……それにしても、その『お嬢様は、なに言ってるんですかねぇ』みたいなお顔はなんなの、ジョアンナ。
 わたくしこれでも真剣なのよ?

 マクシミリアン本人にリサーチをしても例年通り『お嬢様がくれるものなら何でも嬉しいですよ?』とうっとりするような笑顔で言われてしまい、結局今年も彼の好みは分からず終い。
 今年も自分で頭をひねって考えに考え、タイタック式のネクタイピンをプレゼントする事に決めた。
 お仕事でタイを毎日身に着けている彼にぴったりだと思ったのだ。
 早速ジョアンナにお願いしてジョアンナの生家ストラタス商会から取り寄せた、いくつかの品物を見せて貰った。
 ――その中でわたくしの目を惹いたのは。
 職人の手による精緻な細工がこらされた銀のネクタイピンの真ん中に、慎ましやかな大きさの真珠が一粒施された品だった。

「これがいいわ。マクシミリアンに……きっと似合うから」

 髪や目の色、服装も含めて黒一色のマクシミリアンに、銀色のピンはきっと映える。
 彼がそれを着けている光景を想像するだけで、わたくしの心は浮き立った。

 マクシミリアンの誕生日直前。
 ジョアンナが届けてくれたネクタイピンが入った箱は、綺麗な空色の包装紙で包まれ、銀色のリボンがかけられていた。
登録日 2018.11.02 09:01

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2
2018.11.02 10:19
茜色の鈴

更新お待ちしてました!
短編でもなんでも2人の話が読めるならすごく嬉しいです‼️
次のお話も楽しみです。

解除
2018.11.02 09:03
夕日(夕日凪)
夕日(夕日凪)

小説リハビリのための本日の短編1回目投下致しました。
マクシミリアンの誕生日は4月です。この短編の時点の二人は付き合っていません。

こんな感じでイチャイチャしているだけのお話を毎日8~9時頃に投下致します。
本編の更新ペースが戻ってきたらこちらは不定期更新になります。

解除
2

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