『アシュレイ家の花嫁』《エピローグ》 アップ。
(あれから3年になる)
マ-スは入った部屋のドアをゆっくり閉めて、ぼんやりと主のいないベッドを見た。
カーテンを開けた窓から光が入り込み、ベッド脇の赤い室内ばきを照らしている。そこにはかつて小さな白い足が入っていた。軽い足音でマ-スの元へ走り寄ってきてくれた。
首を振り、のろのろとベッドの端に座り込み、そのままばたりと横ざまに倒れた。目を閉じ、残り香を追おうとしても、もう匂いは薄れつつある、まるでそこには始めから誰もいなかったように。
小さく吐息をつく。
目を閉じると、あの夜のことが一つ一つくっきりと鮮明に思い出されてきて、身体がまだ少し竦む。傷めつけられた感覚、壊れかけた心の記憶、けれど今何より鮮やかに思い出すのは、鍾乳洞の床に零れていた血溜まりで。
そして、そこに立っていたのは、ただ一人。
(芽理)
マ-スは入った部屋のドアをゆっくり閉めて、ぼんやりと主のいないベッドを見た。
カーテンを開けた窓から光が入り込み、ベッド脇の赤い室内ばきを照らしている。そこにはかつて小さな白い足が入っていた。軽い足音でマ-スの元へ走り寄ってきてくれた。
首を振り、のろのろとベッドの端に座り込み、そのままばたりと横ざまに倒れた。目を閉じ、残り香を追おうとしても、もう匂いは薄れつつある、まるでそこには始めから誰もいなかったように。
小さく吐息をつく。
目を閉じると、あの夜のことが一つ一つくっきりと鮮明に思い出されてきて、身体がまだ少し竦む。傷めつけられた感覚、壊れかけた心の記憶、けれど今何より鮮やかに思い出すのは、鍾乳洞の床に零れていた血溜まりで。
そして、そこに立っていたのは、ただ一人。
(芽理)
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登録日 2016.11.22 00:35
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