『桜の護王』14.鳴滝(13)アップ。(個人サイトにて)
「何がお前と違う…? そう、可能性は一つだ。お前のように、花王紋はあるにせよないにせよ、花王紋を持った女を繰り返し喰べ続ければいいのだ」
幸一郎がべろりと長い舌を出した。銃を構えたままぬるぬると唇を舐めていく。その顔には皺が深くなりあちこちにシミができ皮膚が乾き始めている。髪の毛も艶をなくしてばらばらと乱れ、首にもたるみが目立つ。
だが、外見には不似合いにぎらついた幸一郎の表情はどこか、息も絶え絶えの獲物を目の前にした肉食獣の顔に似ていた。その前で、護王は抵抗する術一つないまま、意識を失った洋子を庇い、痛みと肩や腹から流れ出す血に喘ぎながらかろうじて立っている……。
その光景が互いの胸の中で、野性の獣が別の獣の肉を貪り食らうという場面に重なりあい繋がっていくのを、護王は、いやおそらくは幸一郎も感じ取ったのだろう、
「……いや……そうか……お前、でもいいんだな」
幸一郎が低く嗄れた声でつぶやいた。
「なん…やて…?」
幸一郎がべろりと長い舌を出した。銃を構えたままぬるぬると唇を舐めていく。その顔には皺が深くなりあちこちにシミができ皮膚が乾き始めている。髪の毛も艶をなくしてばらばらと乱れ、首にもたるみが目立つ。
だが、外見には不似合いにぎらついた幸一郎の表情はどこか、息も絶え絶えの獲物を目の前にした肉食獣の顔に似ていた。その前で、護王は抵抗する術一つないまま、意識を失った洋子を庇い、痛みと肩や腹から流れ出す血に喘ぎながらかろうじて立っている……。
その光景が互いの胸の中で、野性の獣が別の獣の肉を貪り食らうという場面に重なりあい繋がっていくのを、護王は、いやおそらくは幸一郎も感じ取ったのだろう、
「……いや……そうか……お前、でもいいんだな」
幸一郎が低く嗄れた声でつぶやいた。
「なん…やて…?」
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登録日 2016.11.19 10:41
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