「真実は…メラニー様しかわからないか…。」

タオルを干しながら呟いた声がフランツに聞こえたのだろう。
「どうしたんだ？サリー？」

心配そうに言いながらやってきた、フランツの少し禿げあがった頭を見て
「ねぇ、フランツ。あんたはここにきて何年なの？」

「１４の歳にお屋敷でお世話になったから、かれこれ…３０年近くになるかなぁ。」

「じゃぁ、知ってるのよね、１２年前の出来事を…」

「あ…ぁ…うん。」

「なによ。そのなにか物が挟まったような言い方は？」

「いや…旦那様がよ。すげえ偉い方から…メラニー様の話は気の毒だが…秘密にしろと言われたそうだから、俺は言えねぇ。」

「ふ～ん。口止めされいるの旦那様が…。」

「あっ！！もう、言わないぞ！もう絶対に！だってよ。ポーレット様を泣かしたくないから、秘密にしろと言われてんだから！」

サリーはにっこり笑うと、いつものようにフランツの鼻をつまみ
「なるほどね。…あの人がそう言ってるのか。」