『桜の護王』14.鳴滝(11)アップ。(個人サイトにて)
「……ふ…」
「!!」
今まさに綾香を屠ろうとした護王は背後で微かな吐息が動いたのに硬直した。
「姫…さん…?」
顔を青ざめさせながらそろそろと振り返る。
ベッドの上で布団を剥がれたまま横たわっている洋子の胸が、ひどくゆっくりとではあるけれど、そしてまたひどくわずかではあるけれど、上下しているのに気づき、よろめくような足取りでベッドの側に戻る。そっと洋子の顔に伸ばした左手が傍目に見てもわかるほど震えている。
「生きて……?…」
護王の指先に温もりを含んだ吐息が当たる。柔らかに、けれど、確実に。
「そ……そやからっ…」
綾香ががたがた震えながらその護王の背中に声を絞り出した。
「本当なら…とっくに死んでてもおかしくなかったやけど……その人…自分で傷を治しかけてて…」
「あ……ああ……っ」
へた、と護王の体が沈んだ。膝を落としかけ、まるでベッドの洋子にすがりつくようにしてかろうじて体を支える。洋子の体に触れて、それで改めて相手が生きていることを確信したのか、荒い呼吸を吐きながら額を洋子の体に強く押し付けて俯く。
「!!」
今まさに綾香を屠ろうとした護王は背後で微かな吐息が動いたのに硬直した。
「姫…さん…?」
顔を青ざめさせながらそろそろと振り返る。
ベッドの上で布団を剥がれたまま横たわっている洋子の胸が、ひどくゆっくりとではあるけれど、そしてまたひどくわずかではあるけれど、上下しているのに気づき、よろめくような足取りでベッドの側に戻る。そっと洋子の顔に伸ばした左手が傍目に見てもわかるほど震えている。
「生きて……?…」
護王の指先に温もりを含んだ吐息が当たる。柔らかに、けれど、確実に。
「そ……そやからっ…」
綾香ががたがた震えながらその護王の背中に声を絞り出した。
「本当なら…とっくに死んでてもおかしくなかったやけど……その人…自分で傷を治しかけてて…」
「あ……ああ……っ」
へた、と護王の体が沈んだ。膝を落としかけ、まるでベッドの洋子にすがりつくようにしてかろうじて体を支える。洋子の体に触れて、それで改めて相手が生きていることを確信したのか、荒い呼吸を吐きながら額を洋子の体に強く押し付けて俯く。
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登録日 2016.11.16 23:12
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