『桜の護王』14.鳴滝(9)アップ。(個人サイトにて)
びく、と護王は体を震わせて綾香を見返した。
「それを……姫さんに…言うたんか」
辛そうに顔を歪めてうめく。
「そや、言うたったんや! あんたは花王紋があるから喰われるんや、そやけどな、今はもう花王紋はあらへん、もしあんたが護王から手ぇ引くんやったら、あたしが日高にとりなしてやる、あたしが日高に、あんたから花王紋がなくなったって言うてやる、言うて!」
綾香は震えながら続けた。
「あたしかってそこまでするつもりなかったんや! 花王紋なくなったら日高かて食べるとか殺すとか言わへん、そやさかい、護王を諦め、てまで言うたのに、そやのに、うん、言わへんから…っ」
体の両側で手をこぶしに握りしめ、綾香は今にも押し倒されそうな風に逆らっているように立ちながら、護王に向かって必死に叫んだ。
「…なんでや…?」
洋子が自分を諦めろということばに同意しなかったと聞いて、一瞬嬉しそうに笑みかけた護王がふいに納得できないといった表情になってすうっと目を細めた。眉をひそめ、訝しげに問いかける。
「え…っ?」
「なんで花王紋あらへんのに……日高が気づかへん?」
ぴた、と綾香が口をつぐんで、目をさらに大きく見開いた。
「それを……姫さんに…言うたんか」
辛そうに顔を歪めてうめく。
「そや、言うたったんや! あんたは花王紋があるから喰われるんや、そやけどな、今はもう花王紋はあらへん、もしあんたが護王から手ぇ引くんやったら、あたしが日高にとりなしてやる、あたしが日高に、あんたから花王紋がなくなったって言うてやる、言うて!」
綾香は震えながら続けた。
「あたしかってそこまでするつもりなかったんや! 花王紋なくなったら日高かて食べるとか殺すとか言わへん、そやさかい、護王を諦め、てまで言うたのに、そやのに、うん、言わへんから…っ」
体の両側で手をこぶしに握りしめ、綾香は今にも押し倒されそうな風に逆らっているように立ちながら、護王に向かって必死に叫んだ。
「…なんでや…?」
洋子が自分を諦めろということばに同意しなかったと聞いて、一瞬嬉しそうに笑みかけた護王がふいに納得できないといった表情になってすうっと目を細めた。眉をひそめ、訝しげに問いかける。
「え…っ?」
「なんで花王紋あらへんのに……日高が気づかへん?」
ぴた、と綾香が口をつぐんで、目をさらに大きく見開いた。
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登録日 2016.11.14 08:37
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