『ラズーン』第三部 11.『ラズーン』(2) (個人サイトでアップ)。
ジノはリディノづきの詩人(うたびと)、幼い頃は乳兄弟として育ち、二つ年上のリディノを、ジノはこの上なく尊敬し、愛してくれている。
「おとうさま?」
リディノは公の私室に入り、正面の豪奢な織の敷物の上で、所在ない様子で物思いにふけっている父親に声をかけた。その右に寝そべっていたイルファ、隣で中に羽毛を入れ、ふっくらと仕立てた枕を抱いて丸くなっていたレスファートも目を上げる。
イルファの前の酒と食べ物には手がつけられていなかったし、レスファートの側の皿に盛られた色とりどりの果物も、少年の食欲を誘っていなかった。泣きこそしていないが、眠れない夜を過ごしているらしいレスファートの疲れた顔が痛々しく、リディノはそっとその側に座り、少年の髪を撫でてやった。レスファートは身動きもせず愛撫を受け止めていたが、じっとリディノを見つめる目が決して寛いでいないことを示している。
「おとうさま?」
リディノは公の私室に入り、正面の豪奢な織の敷物の上で、所在ない様子で物思いにふけっている父親に声をかけた。その右に寝そべっていたイルファ、隣で中に羽毛を入れ、ふっくらと仕立てた枕を抱いて丸くなっていたレスファートも目を上げる。
イルファの前の酒と食べ物には手がつけられていなかったし、レスファートの側の皿に盛られた色とりどりの果物も、少年の食欲を誘っていなかった。泣きこそしていないが、眠れない夜を過ごしているらしいレスファートの疲れた顔が痛々しく、リディノはそっとその側に座り、少年の髪を撫でてやった。レスファートは身動きもせず愛撫を受け止めていたが、じっとリディノを見つめる目が決して寛いでいないことを示している。
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登録日 2018.03.12 12:17
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