『ラズーン』第三部 10.『氷の双宮』(3) アップ。
そびえ立つ白く滑らかな壁は、侵入者を冷たく拒んでいた。
『氷の双宮』。
ラズーン統合府の頂点『太皇(スーグ)』の直轄地、言わばラズーンの謎を全て含んでいる地である。
その壁に、アシャは傷ついたユーノを抱き上げたまま、向き合っている。
「ユーノ?」
風に混じるような低い囁きに、ユーノは目を開けない。が、微かに緊張を取り戻す体が、彼女の命を何とか繋ぎ得ていることを教えていた。だらりと下がった指先の先から、ポトポトと音を立てて血が滴る。振り向けば、来た道に点々と血の跡が続いているのだろうが、アシャは振り向かなかった。
『氷の双宮』。
ラズーン統合府の頂点『太皇(スーグ)』の直轄地、言わばラズーンの謎を全て含んでいる地である。
その壁に、アシャは傷ついたユーノを抱き上げたまま、向き合っている。
「ユーノ?」
風に混じるような低い囁きに、ユーノは目を開けない。が、微かに緊張を取り戻す体が、彼女の命を何とか繋ぎ得ていることを教えていた。だらりと下がった指先の先から、ポトポトと音を立てて血が滴る。振り向けば、来た道に点々と血の跡が続いているのだろうが、アシャは振り向かなかった。
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登録日 2018.03.04 09:12
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