『古城物語』 6.碧緑の間 アップ。
翌日も、周一郎の容態ははかばかしくなかった。
「あっと、ダンケ、マリーネ」
朝食を持って来てくれたマリーネが、にこりと邪気のない笑みを見せる。
(やっぱり誰かに似てるな)
盆を受け取りながら、またそう思った。
薄茶のおさげを揺らせて、マリーネは周一郎を覗き込む。
「Gute Besserung」
「Danke schön」
熱に頬を紅潮させた周一郎が微笑んで、頷いて出て行くマリーネを見送る。珍しい。
「何だって?」
「お大事に、って…」
「そうだ、本当にお大事に、だ!」
びたんっ、と半絞りの濡れタオルを周一郎の額に落とす。
「夜中に起きてる病人がいるかよ」
「あっと、ダンケ、マリーネ」
朝食を持って来てくれたマリーネが、にこりと邪気のない笑みを見せる。
(やっぱり誰かに似てるな)
盆を受け取りながら、またそう思った。
薄茶のおさげを揺らせて、マリーネは周一郎を覗き込む。
「Gute Besserung」
「Danke schön」
熱に頬を紅潮させた周一郎が微笑んで、頷いて出て行くマリーネを見送る。珍しい。
「何だって?」
「お大事に、って…」
「そうだ、本当にお大事に、だ!」
びたんっ、と半絞りの濡れタオルを周一郎の額に落とす。
「夜中に起きてる病人がいるかよ」
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登録日 2016.10.25 23:48
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