『闇を闇から』第二章 5.上司と部下(7)アップ。『闇を見る眼』第二章 23 追加。
鳴海工業は、明らかに名前負けしている小さな町工場だった。
「桜木通販の? ああ、ああ」
通りに面したすぐ側に工場の壁があり、右隣には小さな二階建ての家、その通り側につけられたインターホンを鳴らして応対したのは町工場の引き戸から、がらがらと重そうに鉄製の扉を引き開けて五十すぎに見える中年女性が出て来た。
「真崎、京介、さん。聞いてますよ、このたびは」
用心深く頭を下げながら、真崎と後ろの美並を伺う。
「納期の遅れを了承して頂いたとかで、御迷惑おかけして申し訳ありません」
「いえ、見本に頂いたこれ」
真崎はいつの間に被り直していたのか、自社のニット帽を脱いでみせた。
「通気性があるのに保温力がある。この編みも工夫して頂いてるんですね」
「まあ…」
「この製品なら自信を持って流通させられる、そう思いました」
今日は近くまで来たのでちょっと御挨拶だけと思いまして。
「桜木通販の? ああ、ああ」
通りに面したすぐ側に工場の壁があり、右隣には小さな二階建ての家、その通り側につけられたインターホンを鳴らして応対したのは町工場の引き戸から、がらがらと重そうに鉄製の扉を引き開けて五十すぎに見える中年女性が出て来た。
「真崎、京介、さん。聞いてますよ、このたびは」
用心深く頭を下げながら、真崎と後ろの美並を伺う。
「納期の遅れを了承して頂いたとかで、御迷惑おかけして申し訳ありません」
「いえ、見本に頂いたこれ」
真崎はいつの間に被り直していたのか、自社のニット帽を脱いでみせた。
「通気性があるのに保温力がある。この編みも工夫して頂いてるんですね」
「まあ…」
「この製品なら自信を持って流通させられる、そう思いました」
今日は近くまで来たのでちょっと御挨拶だけと思いまして。
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登録日 2017.11.10 09:06
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