「僕のΩ~」ホワイトデーSS その2
花言葉というものがあるように、お菓子にもそういう言葉があるという。曰く、クッキーは「友達でいよう」、マシュマロは「早く忘れたい」もしくは「お断りしたい」であったか。すなわち「仕事仲間としての付き合いならば大目に見てやるが、ふざけたことをしているんじゃねぇぞ?」という脅しである。どうやら新人女子は虎の尾を踏み抜いたらしい。
その頃、店ではクッキーとマシュマロのお裾分けがテーブルに並んでいた。
「日頃の感謝を込めて、ホワイトデーの贈り物です。数に限りはありますけどね~」
店員がそう言って配っているクッキーとマシュマロは、実は余り物の再利用だったりする。
「まったく、怜が『オーブンを使わせてくれ』と言うからなにかと思えば」
そんな店内の様子を見ながら、宗がクッキーを口に放り込みつつ呆れていた。
自宅であらかじめ仕込んでいた大量のクッキー生地を黙々と成形して焼き、マシュマロを量産している香坂の様子は鬼気迫っていて、一体なにごとかと思ったのだが。前島がバイト先からチョコレートを貰ってきたらしく、それで焼きもちを焼いたというわけだ。さらにはキレイに成形したのとわざと崩したのとで二パターン作っていたので、「どうせなら店で配るからもっと作れ」と店長命令が出たのだ。
そしてその当人である弟子は、店長の計らいで本日は休みだ。どこかで食事をしてくるとかで、パートナーをバイト先まで迎えに行っている。
宗もまさか、弟子にそんな可愛いところがあったなんて知らなかった。パートナーとちゃんと恋愛しているとはわかっていたけれど、その恋愛の構図は宗が思っていたのと違うのかもしれない。
「いつもムスッとしていた怜がねぇ」
宗が思わずぼやくのに、店長で友人でもある男がマシュマロをつまみながらニヤニヤしている。
「可愛いだろ、俺の弟分」
「あ~、な~?」
ちょっと前まで「可愛い」なんて形容詞は絶対に似合わない男だったのに、今は大きく頷けてしまう。
二人は今頃、仲良く過ごしているだろうか?
その頃、店ではクッキーとマシュマロのお裾分けがテーブルに並んでいた。
「日頃の感謝を込めて、ホワイトデーの贈り物です。数に限りはありますけどね~」
店員がそう言って配っているクッキーとマシュマロは、実は余り物の再利用だったりする。
「まったく、怜が『オーブンを使わせてくれ』と言うからなにかと思えば」
そんな店内の様子を見ながら、宗がクッキーを口に放り込みつつ呆れていた。
自宅であらかじめ仕込んでいた大量のクッキー生地を黙々と成形して焼き、マシュマロを量産している香坂の様子は鬼気迫っていて、一体なにごとかと思ったのだが。前島がバイト先からチョコレートを貰ってきたらしく、それで焼きもちを焼いたというわけだ。さらにはキレイに成形したのとわざと崩したのとで二パターン作っていたので、「どうせなら店で配るからもっと作れ」と店長命令が出たのだ。
そしてその当人である弟子は、店長の計らいで本日は休みだ。どこかで食事をしてくるとかで、パートナーをバイト先まで迎えに行っている。
宗もまさか、弟子にそんな可愛いところがあったなんて知らなかった。パートナーとちゃんと恋愛しているとはわかっていたけれど、その恋愛の構図は宗が思っていたのと違うのかもしれない。
「いつもムスッとしていた怜がねぇ」
宗が思わずぼやくのに、店長で友人でもある男がマシュマロをつまみながらニヤニヤしている。
「可愛いだろ、俺の弟分」
「あ~、な~?」
ちょっと前まで「可愛い」なんて形容詞は絶対に似合わない男だったのに、今は大きく頷けてしまう。
二人は今頃、仲良く過ごしているだろうか?
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登録日 2025.03.14 09:18
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