スランプ脱出リハビリ10
「カラオケ行こーぜ!」
「やだ」
とある休みの日、俺達は夕飯ハンバーガーチェーンにて昼食を取っていた。
もそもそとポテトを食べていると桜野が窓から見えるカラオケ店を指差して提案してきた…のを、秒で拒否した。
なんでカラオケなんて行かないといけないのかわからない、歌うのが苦手な俺は自然と眉間に皺を寄せながら首を振る。
「なぁー、一回!一時間だけ!」
「なんでカラオケなんだよ、ゲーセンとかでいいじゃん…」
「今スッゲー行きたくなった!」
にかーっと良い笑顔を見せながら言う桜野に脱力してしまうのは俺だけじゃないと思う。
後ろからポン、と肩を叩かれたかと思い振り向いてみると静かに首を振っている大原がいた。
仕方なく3人でカラオケに行くことになったが、俺は歌わないぞと念を押しておく。
受付は桜野に任せて聴き専としてマラカスでも借りていくか、と受付横に【ご自由にどうぞ】と置かれているマラカスを1つ持ってみた。
そのまま伝票に書かれた部屋に行くと桜野は早速デンモクを弄っている。
「俺一番!いい!?」
「…いいよ、早く歌いな」
一時間しかいない為飲み物も必要ないだろうとなにも注文せずに座っていると桜野が入れた曲が流れ始める。
あ、この曲知ってる。とシャカシャカマラカスを振っていると桜野のが熱唱し始めて少しワクッとしてしまう。
…歌うのは嫌だけど、聴くだけなら良いかも…なんて思ってしまうあたりかなりチョロいと思う。
そのあとも大原と桜野がそれぞれ曲を入れていくと最後に、と3人が共通で知っている曲を入れた。
これなら知ってる。とマラカス。構えると大原にマラカスを奪われ桜野にマイクを渡される。
「ちょ、歌わないって…!」
「歌わなくても良いんだよ!カラオケ来たんだから1曲くらいマイク持ってろ」
「マイクオンにしなくても軽く鼻歌くらいなら一緒に歌ってる気分味わえるんじゃない?」
まだ納得いってないけど曲が始まってしまったこともあり、マイクはオフのままで画面を見る。
曲が終わる頃には両手でしっかりマイクを握っていたようで2人に笑われてしまった。
歌うのは大の苦手だけど、この二人となら…たまにならいいかも…なんて思えた休日の出来事。
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登録日 2025.02.26 21:21
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