スランプ脱出リハビリ4
※小学生時代のお話
両親が海外に行って数日。
心の中は高校生超えててもこの世界ではまだ小学低学年なのだ。
つまり、まだまだ甘えたい年頃。
コンコン
「…照史さん」
「ん?どうしたの唯兎くん」
ノックの後扉を開ければ俺を迎え入れてくれる照史に甘えて部屋の中に入るとふわ、と良い香りが広がっていた。
俺も慣れてくればこんな匂いになるのかな、なんて思いながら照史の元に歩いていくとベッドをポンポンと叩かれる。
隣にポスンと座ると頭を撫でられ顔を覗き込まれた。
「どうしたの?もう寝る時間だけど…」
「あ、あの…」
もぞもぞと言いにくそうに両手を胸元で弄りながらえっと、その…を繰り返す。
そんな俺を急かすことなくただ頭を撫でて俺が言葉を出す事を待つ照史は本当に良い子で、素敵だと思う。
意を決したように照史を見上げると、俺は恥ずかしさに頬を赤らめながら兄である照史に一つお願いをした。
「お、俺と一緒に寝てください」
少し驚いたような照史につい顔を俯かせてしまう。
ほら、ゲーム通りに進ませないためにも俺は照史と仲良くしたいわけで、でもいきなり仲良くなるのは難しいから弟として少しずつ甘えていく方法でゆっくりと仲良くなれたらなって思って…。
なんて、1人頭の中で言い訳を並べているとクスッと笑う声が聞こえて顔を上げる。
「あ、笑ってごめんね。僕の弟は可愛いなって思って」
「…むぅ…」
「勿論、一緒に寝よ?枕持っておいで」
自分の枕をずらしながら言う照史につい嬉しくなり、すぐ持ってくる!とパタパタスリッパを鳴らしながら自室に急いだ。
新しい義母さんが俺にと猫のぬいぐるみを用意してくれていたので可愛い弟アピールとしてそれを持って照史の部屋に戻った。
「唯兎くんは壁側ね、落ちたら大変だ」
「…おちないもん」
「そうだね、でも僕が心配だから」
持って来た枕を壁側に置き、俺をそこに寝かせると隣に照史が入って来た。
すぐにぬくぬくと温かくなる布団にウトウトし始めるとソッと頭を撫でられる。
「おやすみ、唯兎くん」
「…おやすみなさい…あきとさん…」
撫でられる頭の感覚を堪能しながら猫のぬいぐるみをギュッと抱きしめ、ゆっくり目を閉じた。
明日、兄さんって呼んでみようかな。
なんて思いながらソッと目を閉じた。
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登録日 2025.02.09 14:07
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